中学、高校生の中にはプレーヤーを辞めてもバスケットボールに関わりたいと考えている人も多いだろう。バスケットボールには選手だけでなく、コーチや審判、大会運営などさまざまな関わり方がある。
そうした中、公益財団法人日本バスケットボール協会(以下JBA)は2月23日、第1回となる『女子中高生のための「ずっとバスケ」応援イベント』を開催した。
女子中高生を対象とした背景には、女性プレーヤーが日本全体の約40パーセントを締める一方で、女性コーチは約25パーセント、女性審判員は約19パーセントにとどまっている現状があるから。
「どうしたらコーチや審判になれるの?」といった疑問や迷いを持っている女子中高生たちに、実際に現役で活躍する関係者の話を聞き、直接交流することで将来のキャリア形成に役立てほしいーーーそんな思いからから開催された。
さまざまな経歴を持つ、9名の女性ゲストスピーカーが自身の歩みを紹介
©日本バスケットボール協会
北は北海道、南は京都と全国各地から約50名が味の素ナショナルトレーニングセンター(東京都)に集結。定員50名のところ、初回募集で120名を超える応募があったのだから、その関心の高さがうかがえる。
イベントは3部構成で、第1部のテーマは「バスケに関わり続ける先輩たちのキャリアを知ろう!」。「コーチ」「審判」「テーブルオフィシャル(TO)」「協会・リーグ運営」と4つの職種で働く9名のゲストスピーカーが登壇し、競技歴や現在の仕事に至るまでの道のりを語った。
[ゲストスピーカー]
・平田紘美
プレステージ・インターナショナル アランマーレアシスタントコーチ。女子U19日本代表アシスタントコーチ(2025年)、選手としてトヨタ自動車アンテロープスで5シーズンプレー
・綾部 舞
三遠ネオフェニックスアシスタントコーチ兼通訳。これまでもWリーグやBリーグの複数のクラブで通訳を務めた
・北村麻衣
学習院大学の教員で女子部コーチ。JBA、東京都バスケットボール協会主催のコーチ養成講習会等ではコーチデベロッパーを務める
・熊谷久美子
FIBA公認国際審判員。BリーグやWリーグで活動。普段は小学校の教員
・高野杏実
FIBA公認国際審判員。
・原田果奈
愛知県を中心にBリーグ等の試合でTOを担当。国際試合も経験。愛知県バスケットボール協会の事務局勤務
・武市英里
京都府でTOの活動を開始し、東京都に拠点を移した現在は東京と京都の2拠点で全国大会やトップリーグの試合のTOを担当
・三浦弥夢
JBA事務局・U18推進セクションに属し、U18日清食品リーグやSoftBankウインターカップの運営を担当
・榎本芽衣
WリーグやBリーグのクラブでトレーナーとして活動後、Bリーグ事務局に所属し、強化・育成を担当
「バスケを支える」男女割合について ©日本バスケットボール協会
「思い立ったら即行動!」コーチや国際審判員、TOのキャリアストーリーに熱心に聞き入る女子高生たち
ゲストスピーカーたちのここまでの歩みはそれぞれで、平田さんのように選手としてトップに登り詰めたのちにコーチになった人もいれば、綾部さんのように高校卒業後に留学し、英語を学びながらアメリカの大学バスケを経て、日本で通訳からキャリアをスタートした人もいる。学習院大学で指導にあたる北村さんは筑波大学時代に学生とコーチとで2度のインカレ優勝を経験した経歴の持ち主だ。
また、参加者には審判になりたいという声も多かった。熊谷さんは青森県初の国際審判員。周りに情報が少ない中で「県外に出て、時には国外にも行った」と、審判を始めた頃を振り返り、国際審判員となってからも国際大会では海外の審判仲間に「つたない英語でもどんどん輪に入り、自分を知ってもらうようにした」といったことを教えてくれた。
一方、会社経営者という肩書きを持つ高野さんは、試合は観客を含めてみんなでつくり上げるということを踏まえ、「いろいろな場所に身を置くことで様々なことを感じることができる。どうやって試合を盛り上げ、お客さんにまた来てもらえるかを考えて審判をしています」と、静かな口調ながら熱い思いを吐露した。
ほかにもTOの原田さんと武市さんは学生時代やTOでの転機となったエピソードを紹介。
「やりたいことがあったらすぐに行動しよう」という綾部さんの言葉が代表するように、興味を持ったことへの行動力はゲストスピーカー全員に共通。加えて挑戦をポジティブに捉えている言葉も印象的だった。
現在はB.LEAGUE 三遠ネオフェニックスでアシスタントコーチ兼通訳として活躍中の綾部舞さん
クイズや実践形式など、各ブースでより専門的に
第2部は、「コーチ」「審判」「TO」「協会・リーグ運営」の4つのブースに分かれて専門的な知識を得る時間に。
「協会・リーグ運営」では細かい業務内容の説明やアリーナづくりの話など多岐にわたり紹介。TOブースは実際の試合映像から、「この場面のショットクロックは24秒をリセットするか?」といったクイズを用いて分かりやすい説明が行われた。
審判ブースでは3人制バスケットボール時の審判配置を学び、質疑応答では2人の審判員が参加者のストレートな質問に熱心に答えた。
コーチブースでは、約2分間の試合映像を視聴したのち、4、5人で一つのグループになった参加者が「この後のタイムアウトで何を指示するか」の課題に意見交換。最後は指示内容をまとめて全体に発表し、それに対して平田さん、綾部さんがアドバイスを送るなど、より実践的に取り組んだ。
「コーチブース」で行われた映像を見ながらの意見交換ワーク
バスケットボールに関わる仕事をしたい――夢を言葉にし、一歩を踏み出す時間
最後の第3部では9グループに分かれ「今後の夢」と「そのためにどうするか」といったことを参加者全員がグループ内で発表。各グループに指南役としてゲストが入り、最後はゲストスピーカーと参加者たちとで質問や意見交換などが活発に行われた。
©日本バスケットボール協会
「中学生のころから将来バスケットに関わる仕事がしたいという思いがあり、試合を見に行くうちに、チームで働きたいという気持ちが強くなりました。
「最近、審判のD級を取得したのですが、そのタイミングで母から(イベントの)話を聞き、ちょうどいいなと思って参加しました。今回、審判だけではなく、TOやコーチの話なども聞いたのですが、そういった勉強も審判に生きてくるということを知り、いろいろな視点からも勉強してみたいと感じました。(参加者の中には)すでにいろいろと活躍してる子たちもいたので、その子たちを見習うというか、追いかけてやっていきたいと思います。とても刺激になったイベントでした。ありがとうございました」(中学2年生)
あっという間の約4時間。
参加した中高生たちにとっては大きな刺激と学びの時間となったようだった。
バスケットボールに“ずっと”関わる道は、一つではない。その選択肢の広がりを示した、意義深い一日だった。
©日本バスケットボール協会
【取材・文=田島早苗】
『月刊バスケットボール』(雑誌)『バスケットボールキング』(WEB)の編集部を経てフリーランスに。

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