
サッカーにおいてセンターバックとゴールキーパーはとにかく身長が大きいほうが有利だと言われる。フィジカルの強さ、そして空中戦の高さ。
ただ、その一方でそれほど身長が高くなくてもセンターバックとして活躍した選手たちもいる。今回は『GMS』から「身長が6フィート(183cm)以下でも世界的なセンターバックだった選手たち」をご紹介する。
リサンドロ・マルティネス
所属した主なクラブ:アヤックス、マンチェスター・ユナイテッドなど
身長:175cm
リサンドロ・マルティネスは、オランダの強豪アヤックスで活躍した後、2022年夏にマンチェスター・ユナイテッドへと移籍。エリック・テン・ハフ監督(当時)による肝いりの補強であった。
身長はあまり高くはないものの、その技術と判断力で不安の声を払拭、試合を重ねるごとにその実力を明らかにしていった。
さらに、2022年のワールドカップ制覇にアルゼンチン代表ディフェンダーとして貢献するなど、国際舞台でもその存在感を示している。
ハビエル・マスケラーノ

所属した主なクラブ:リヴァプール、バルセロナなど
身長:173cm
もともとは守備的ミッドフィルダーとして知られていたマスケラーノであるが、バルセロナでは主にセンターバックとして起用されていた。それはチーム内での出場機会を増やすための選択だったが、彼に多くのタイトルを与えるキッカケにもなった。
20以上のトロフィー、2つのオリンピック金メダル、さらにはアルゼンチン代表としても147capを重ねるなど、キャリアを通じて数々の栄光を手にしてきた。
173cmという体格でありながらも、鋭い判断力と粘り強さにかけてはトップレベルのディフェンダーとして君臨。常に冷静なポジショニング、カバーリング、そして力強いタックルでピンチを救う頼もしさが光る。
ダヴィド・アラバ

所属した主なクラブ:バイエルン、レアル・マドリー
身長:180cm
キャリアの初期には左サイドバックやミッドフィルダー、そしてアタッカーとしても起用されていたダヴィド・アラバ。後にセンターバックにコンバートされても、なんら困ることもなく役割を果たしていった。
バイエルン・ミュンヘン在籍時には、205試合に出場しで10ゴールと12アシストを記録。
身長は180cmと決して高くはないものの、彼の多彩なポジショニングと試合を読む力はまさに世界レベル。知性と技術で頂点を極めた選手だ。
フランク・デ・ブール

所属した主なクラブ:アヤックス、バルセロナなど
身長:180cm
もともとは左サイドバックとしてプレーしていたフランク・デ・ブールであるが、センターバックへのコンバートによって大きく才能を開花させることになった。
その後プロとしてのキャリアで693試合に出場し、63ゴールを決めた。アヤックスではチャンピオンズリーグ優勝を経験し、バルセロナやガラタサライ、レンジャーズなどで活躍した。
体格やフィジカルは平凡であったが、彼の守備は試合を読む力と素早い判断に裏打ちされており、数多くのアタッカーを悩ませた。
チアゴ・シウヴァ

所属した主なクラブ:ミラン、PSG、チェルシー
身長:180cm
チアゴ・シウヴァはとても静かな選手だったが、その一方でカリスマ性もあったという珍しいタイプだ。センターバックとしての存在感も豊かで、現代サッカーに求められるものをすべて備えていた。
スピード、テクニック、守備の技術、メンタル、そして攻撃能力。リーダーシップも含めて多くの評価を獲得し、各クラブで数多くのタイトルに貢献した。
現在は40歳になっているが情熱を失わずに現役を続けており、フルミネンセで若い選手たちに自身の経験を伝えている。
フランコ・バレージ

所属した主なクラブ:ミラン
身長:173cm
ACミラン一筋で20年近くプレーしたDFフランコ・バレージは、センターバックの代名詞とも言える存在だ。710試合に出場し、31ゴールを記録。15年間にわたりクラブのキャプテンとしてチームを牽引し、3度のチャンピオンズリーグ、6度のセリエA優勝など、合計21個のトロフィーを獲得した。
1982年のワールドカップ制覇に貢献し、その後もイタリア代表として重要な役割を果たすなど、世界中のディフェンダーから尊敬を集めた。小柄ながらも卓越したポジショニングと読み、そしてリーダーシップは、センターバックの原点ともいえる「お手本」である。
カルレス・プジョル

所属した主なクラブ:バルセロナ
身長:178cm
カルレス・プジョルはバルセロナの中でクラシカルな守備の要として独特の存在感を放った「闘将」。数々の栄光を獲得した伝説的チームの中で大きな役割を果たした。
3度のチャンピオンズリーグ制覇に貢献し、スペイン代表としても100試合以上の経験を積む。2008年の欧州選手権、2010年のワールドカップ優勝と、国際舞台でも欠かせない存在だった。
プレーはまさにシンプルそのものであり、徹底したインテンシティと献身性によって相手を封じめるというスタイルで、今なお多くのファンに愛されている。
ボビー・ムーア

所属した主なクラブ:ウエストハム、フラムなど
身長:178cm
イングランドの伝説的ディフェンダー、ボビー・ムーアは、1966年ワールドカップ制覇の立役者として記憶されている。彼はその高いフットボールIQと瞬時の判断力で、相手の攻撃を事前に読んでいるようかのように、常に最適なポジションでボールをカットし続けた。
イングランド代表で108キャップを重ねた彼は22歳という若さでキャプテンに就任するなどリーダーシップにも優れていた。試合終了後に仲間と肩を組むシーンは、イングランドサッカーの象徴ともなっている。
彼の堅実な守備とリーダーシップは、後に続く世代のディフェンダーたちに大きな影響を与え、今なお語り継がれる存在だ。
ファビオ・カンナヴァーロ

所属した主なクラブ:ナポリ、インテル、パルマ、ユヴェントスなど
身長:175cm
2006年にバロンドールを受賞したファビオ・カンナヴァーロ。同賞を獲得した最後のディフェンダーであり、今なおその名誉は特別なものだ。
175cmという小柄な体格でありながらも、ディフェンスにおける卓越した技術とリーダーシップによって、イタリア代表をワールドカップ優勝に導いた。
クラブレベルでも名門クラブを渡り歩いてキャリア通算694試合に出場。時折見せる攻撃での貢献も評価され、多くの個人タイトルを獲得した。
フランツ・ベッケンバウアー

所属した主なクラブ:バイエルン、ハンブルガーSVなど
身長:180cm
「デア・カイザー(皇帝)」として知られるフランツ・ベッケンバウアー。サッカー史上屈指のセンターバックであり、同時に守備の革命児でもある。
身長はイメージと違って平均的なものだが、リベロとして攻撃でも大きな役割を果たしつつ、フリースタイルのディフェンスとして試合全体に影響を与えるという存在だった。
その記録は623試合で150以上のゴールを決めたことで証明されている。また選手としても監督としてもワールドカップを制覇した数少ない人物であり、その厚生は枚挙にいとまがない。