かつて細貝萌氏もプレーしたドイツの強豪レヴァークーゼン。

今シーズンに就任したばかりのオランダ人のエリック・テンハフ新監督をわずか3試合で解任した。

55歳のテンハフ監督は、アヤックスで名をあげると、2022年~2024年までは名門マンチェスター・ユナイテッドを指揮した人物。

レヴァークーゼンはDFBポカール(ドイツカップ)で格下ゾネンホフ・グロスパッハに4-0で勝利したものの、ホッフェンハイムとのブンデスリーガ開幕戦は1-2で敗北、第2節ブレーメン戦は2点リードを守れずに3-3の引き分けに終わった。

そうしたなか、『BBC』は、「テンハフ監督がレヴァークーゼンで10週間ももたなかった理由」という話題を伝えていた(実際には10週間にも満たない62日で解任)。

「当初、レヴァークーゼンはフロリアン・ヴィルツやヨナタン・ターら主力選手を相次いで失う中、テンハフが部分的な再建を主導できると確信していたようだ。

しかし今シーズンの序盤の成績が振るわなかったことは、テンハフ解任の唯一の理由でもなければ、主要な理由ですらなかった。ほぼ最初から、テンハフは自身の決断と行動で周囲の苛立ちを買っていた。

例えば、レヴァークーゼンのブラジルでのトレーニングキャンプ中に、フラメンゴU-20チームとのフレンドチーマッチの日程を変更。当初の予定より4日早く行われた試合でレヴァークーゼンは1-5の大敗を喫した。

また、テンハフはMFグラニット・ジャカの放出に反対だったが、クラブは彼をサンダーランドへ売却した。

さらにテンハフは、自身とスタッフがプレシーズンから指導していたにもかかわらず、選手たちのフィットネス不足を批判。

指揮官は、野心的なトップチーム、特に新たに編成されたチームを率いるのに必要なカリスマ性に欠けていると指摘されている。

彼は自身の考えで選手を納得させるのに苦労しているように見え、クラブ関係者によれば、試合前のミーティングでも精彩を欠いていたという。

ホッフェンハイムとの開幕戦では試合前に話をすることもなかったとされている。

対照的に前任者のシャビ・アロンソ監督(現レアル・マドリー指揮官)は、ドイツ語と指揮官としてのリーダーシップ向上に全力を尽くしていた。

それでも、レヴァークーゼン上層部がテンハフをこれほど早く解任したことは大きな衝撃だ。彼らはテンハフを雇う前に徹底的な身元調査を行ったはず。

数年前の彼はアヤックスで高く評価されていた。ユナイテッドでの1年目も有望に見えたが、最終的に解任されたのは、監督としての弱さよりもチーム内の混乱に起因するとされている。

一方、レヴァークーゼンも混乱に陥っている。移籍を考えている選手を全員放出するような構えだったし、テンハフが監督だからと契約した新加入選手たちもいる。

シャビ・アロンソ時代の成功以前でも冷静な判断で評価されることが多かったクラブだったが、今回のことでその認識が変わるかもしれない」

テンハフ監督は早い段階で求心力を失っていたようだが、クラブ側の姿勢にも疑問があるという。

一方、ドイツ紙『SportBild』は、こう伝えている。

「テンハフはクラブの最も親密なグループからすぐに離脱した。

ロッカールーム内での人間関係も緊張していた。

コーチ陣、理学療法士、医師、栄養士、チーム編成、そして彼自身の新しいコーチングスタッフ、誰とも繋がりを持てなかったのだ。

(戦術的にも)指揮官はレヴァークーゼンに何のアイディアも伝えられなかった。誰も何をすべきか分からなかった。

ブレーメン戦で3-1とリードしていた時でさえも、個々の動きはあったものの、ゲームプランはなかった。

ロッカールームには、なぜトレーニングにおいて腕立て伏せがランニングやパスと同じくらい重要視されるのかという困惑もあった。

選手たちは、テンハフが戦術的にもプレースタイル的にも、彼らをどこに導こうとしているのか理解できなかった」

また、クラブ内のベテランスタッフの間では、この15~20年で誰が最悪の監督だったのかという議論が巻き起こっていて、そのなかでテンハフはワースト扱いされているとも。

なお、テンハフはレヴァークーゼンから500万ユーロ(約8.6億円)ほどの違約金を受け取るとされており、1日当たりのコストが10万ユーロ(約1730万円)ほどになることも話題になっている。

編集部おすすめ