[J2第31節、ジェフユナイテッド千葉 2-2ロアッソ熊本、9月27日、千葉・フクダ電子アリーナ]
千葉は熊本に2-2で引き分け、暫定首位浮上のチャンスを逃した。
この試合で1-1の同点ゴールを決めたFW呉屋大翔(ひろと)は、ストライカーのエゴよりもチームとしての勝利を優先して走り続けた。
最前線から見せる勝利への想い
2試合連続ゴールを決めた点取り屋の表情は暗かった。
この日、ホームに熊本を迎えた千葉は主導権を握るも、前半12分に敵陣でのボールロストからカウンターを受けて、オウンゴールで先制点を許した。
呉屋は「失点の形はもったいなかったと思うので、結果的に自分たちで(試合を)難しくしてしまった」と肩を落としながらも、すぐに前を向いた。
1-0で勝利した前節愛媛FC戦で決勝点を沈めた呉屋は、この日もストライカーの位置で先発出場し、体を張ったポストプレーと前線からのチェイシングを披露。チームのために泥臭く戦う背番号9のプレーが、ゴールにつながった。
千葉は前半30分に、ハーフウェイライン手前からMFエドゥアルドがスルーパスを供給。背後を狙っていた呉屋がそのまま相手ゴール前に侵入し、敵ディフェンダーからのタックルを受けたが、倒れ込みながら左足を振り抜いてニアに突き刺した。
「エドゥ(エドゥアルド)からいい形でボールを引き出せて、あとはあまり考えずに打てました。なんとか勝ちたいという想いだけでやっていますし、それを自分が一番先頭で見せられたらと思いながら、毎試合やっています」と2試合連続ゴールを決めると、すぐさまボールを回収して反撃を狙った。
背番号9の今季リーグ戦5得点目で同点に追いつき、1-1で後半に突入したが、同22分に再びリードを許した。
ベンチに下がった呉屋は「本当に全員で戦っているし、代わりに入る選手も素晴らしい選手が出てくる。そこ(交代)に対してはなんのストレスもなくて、自分が与えられた時間でやれることをやる」とタッチライン際から声を出し続け、チームメイトを鼓舞した。
千葉はその後も猛攻を仕掛け、直後の同25分にはMFイサカ・ゼインの得点で2-2としたが、放ったシュート19本で熊本の堅守を突破できなかった。
試合はそのまま2-2で終了。呉屋は「きょうくらいチャンスを作れたのは良かったですが、完全に自分たちのゲームだったので勝ち切りたかったというのが率直な気持ちです」と唇を噛んだ。
次節は10月4日午後2時からV・ファーレン長崎との上位対決をホームで戦う。
ストライカーとしての結果は残したが、何よりもチームの勝利を渇望している。
呉屋は「選手の責任だと思いますし、個人がどう変えられるかだと思う。自分を含めてチャンスを作ることや、決めることに対してしっかりと責任を持ってやりたい。ジェフは『自分が、自分が』となる選手ばかりではないですし、まずはチームに対してという想いを持っている方が、チームとしての力は出る。そこはブラさずにやるべきだと思います」と、次節の大一番に向けて力強い言葉を残した。
(取材・文 浅野凜太郎)