モンテディオ山形がリーグ戦12試合ぶりの完封勝利!決死の守備を見せたDF城和隼颯「また次もゼロで終える」
モンテディオ山形がリーグ戦12試合ぶりの完封勝利!決死の守備を見せたDF城和隼颯「また次もゼロで終える」

[J2第26節モンテディオ山形1-0 いわきFC、8月16日、NDソフトスタジアム山形]

16位山形は12位いわきに完封勝利を果たし、12試合ぶりのクリーンシートを達成した。

センターバックで先発出場したDF城和隼颯(はやて)が決死の守備でいわきの攻撃を抑え込み、チームを勝利へ導いた。

山脈を彷彿とさせる守備でシャットアウト

いわきが繰り出す怒とうの攻めを鉄壁の守備でシャットアウトした。

城和を筆頭に相手のハイボールを弾き返し、出足の早いタックルで守備にほころびを一切見せなかった。

モンテディオ山形がリーグ戦12試合ぶりの完封勝利!決死の守備...の画像はこちら >>
いわきのハイボールをヘディングでクリアする城和

この日最終ラインで守備を統率した城和は「(いまの)順位は望んでいる順位ではないですし、なかなか勝ちをつかめていない状況で、ゼロで抑えれてない僕らは責任を感じています。 きょうこそは必ずゼロで終わって、前の選手に点を決めてもらって勝つというビジョンが見えていました。自分が体を張ってゼロで抑えることができれば、チームメイトが点を取ってくれると信じていた」と、決死のプレーでバトンを前線につないだ。

この日は身長186センチのDF熊本雄太が相手ボールホルダーに激しくチャレンジする形で起点を潰し、身長187センチの城和が危機察知能力を生かしたカバーリングで切れ目のない守備を見せた。

まさに山脈を彷彿とさせる守りで11試合続いた失点を断ち切った。

モンテディオ山形がリーグ戦12試合ぶりの完封勝利!決死の守備を見せたDF城和隼颯「また次もゼロで終える」
モンテディオ山形がリーグ戦12試合ぶりの完封勝利!決死の守備を見せたDF城和隼颯「また次もゼロで終える」
身体能力を生かしたチャレンジを見せた熊本(左)

熊本は「シロ(城和の愛称)は常にいいプレーをしていた。常に自分たちで喋りながら、ツートップにいこうと話していたので、きょうはそんなに起点を作らせないプレーができてたので良かった」と、阿吽(あうん)の呼吸でいわきを寄せ付けなかった。

4バックでの熊本とのコンビは、6日に開催された天皇杯ラウンド16浦和レッズ戦以来今季2度目であり、リーグ戦では初お披露目だった。息の合ったチャレンジ&カバーは守備が瓦解しかけていた山形にとって大きな光明となりそうだ。

城和は「熊くんはボールにも、人にも強い選手だと思っているので、熊くんがチャレンジしやすいように自分のポジショニングをすごく意識している。周りの選手を動かして、自分がこぼれ球を拾う部分を意識している。

いいチャレンジャー&カバーができたと思っています」と手応えを得ていた。

若きディフェンスリーダーが守備を立て直す

城和はプレー以外でも存在感を示していた。よく通る声で絶え間なくコーチングを繰り返し、守備の穴をふさぎ続けた。スペースが空けば味方選手を誘導し、急所ができれば背番号22自身がカバーに入る。チームメイトと連係しながら堅守を構築した。

モンテディオ山形がリーグ戦12試合ぶりの完封勝利!決死の守備を見せたDF城和隼颯「また次もゼロで終える」
モンテディオ山形がリーグ戦12試合ぶりの完封勝利!決死の守備を見せたDF城和隼颯「また次もゼロで終える」
絶え間なく味方へコーチングを繰り返した城和

26歳の若きディフェンスリーダーは「直近で試合に出ているセンターバックは自分だと思っているので、(監督の)横内(昭展)さんが僕に何を求めているのか常々考えてプレーしています。自分が連続して試合に出てるということは、自分が引っ張らなきゃいけないと思っている。年齢は関係なく周りの選手を動かすことができたと思います。チームを鼓舞するという部分でも、誰かが走るときにすごくいい雰囲気ができていたと思うので、継続しながらやっていきたいです」と胸を張った。

柏レイソルのアカデミー、法政大を経てザスパクサツ群馬でプレーした城和は、ビルドアップやロングフィードに定評のある攻撃的なセンターバックだ。守ればクレバーなカバーリングなどを見せてきたが、この日の背番号22は時折激しく、泥臭い守備で相手の攻撃を食い止め続けた。

「センターバックの選手としての価値は、ビルドアップ以外の部分がすごく大きいと思う。

まずは自分が守るというところ。体を張ってゼロで抑えれるところを見せないと、センターバックの価値は上がらないと思う。そこは山形に移籍してから、すごく意識している部分です」と明かした。

力強さと賢さを兼ね備えた隙のない守備―。これまで失点を重ねてきた山形にとって城和の好守はカンフル剤になりそうだ。

モンテディオ山形がリーグ戦12試合ぶりの完封勝利!決死の守備を見せたDF城和隼颯「また次もゼロで終える」
モンテディオ山形がリーグ戦12試合ぶりの完封勝利!決死の守備を見せたDF城和隼颯「また次もゼロで終える」
鋭いスライディングでピンチの芽を摘んだ城和(左)

5月6日に開催された大分トリニータ戦以来となるホーム白星を1万546人の観客が見届けた。現在残留争いの渦中にあり、山形イレブンは申し訳なさを抱えながらプレーしていた。城和もまたこの日の勝利をファンに捧げることができて安堵(あんど)の表情を浮かべていた。

「たくさんのサポーターの方が応援に来てくれていると思います。勝ってサポーターの方々を素晴らしい気持ちで山形に帰っていただくために、自分たちも戦わないといけないと思います。今シーズンはすごく苦しい思いをさせてしまっている中で、きょうもたくさんの方が応援してくれている。パワーを結果で表現したいと思っています」とサポーターへの感謝を口にした。

次節は23日午後7時にアウェーで徳島ヴォルティスと対戦する。リーグ最少14失点の堅守を誇るチームとの対決に、城和は静かに闘志を燃やしている。

「先に失点すると厳しいと思います。こうやってゼロの流れができてきているので、また次もゼロで終える」とキッパリ。次節も城和を筆頭に隙のないディフェンスラインで完封勝利へと導き、ここから山形は反撃ののろしを上げる。

(取材・文 高橋アオ)

編集部おすすめ