2025年6月22日、シンガポール華字メディアの聯合早報は、国内市場の競争の激化や不動産市場の崩壊が招いた消費不振、トランプ関税に端を発した欧米各国との貿易摩擦で中国製品の輸出が厳しくなったことから、新しい市場としてブラジルに進出する中国企業が増えていることを伝えた。
記事は初めに「中国のIT企業やEコマースのブランドが東南アジアや中東、南米など外国の市場に活路を見出そうとしている。
記事は中国企業のブラジル進出の理由について、過去10年にわたってブラジル産の大豆を中国企業が購入し、ブラジル側の消費者が中国製の自動車や電器製品を購入してきたことや、米中両国間で政府官僚が関税の交渉を行っていた5月に鉱業、再生可能エネルギー、自動車製造の拡大を含めた約47億ドル(約6815億円)の投資計画を中国企業が発表するなど、両国の経済的な結びつきが強かったことを挙げ、ブラジルのルラ大統領の訪中もあり、両国の関係が米国の影響をけん制する力となり得ると指摘した。
記事は次に、2人の専門家の意見を紹介した。1人目のシンガポールのコンサルティング企業「Momentum Works」の李江玕(リー・ジアンガン)CEOは、美団が中国市場で行っていた消費者へのサービスの値段を大幅割引することにより競合他社との値引き合戦に持ち込む企業戦略や、配達中に亡くなった配達員について拘束時間や待遇に問題はないと報告していたことを例に挙げ、「中国とブラジルの良好な関係はしばらく続くだろう。ただ、中国企業がブラジル市場で成功するとは限らない。顧客や現地スタッフを雇用するということは、やり方にも現地の管理監督機関の審査を受ける可能性があるからだ」と論じた。
2人目の金融業界向けのデータ分析を行っている香港のMeasurable A.I.の創立者、黄何(ホアン・ホー)氏は「中国企業が海外進出を図る時、お金を稼ぐことよりも市場の主導権を掌握し、ユーザーに最も利用されるアプリになることを優先している」と述べた。(翻訳・編集/原邦之)