2025年7月22日、台湾メディアの台視財経は、台湾のシンクタンク「科技‧民主‧社会研究センター(DSET)」が21日に公開したレポートで、政府からの強力な資金援助と低利益率を武器に攻勢を強める中国のファウンドリ(半導体受託生産)企業が、生産能力の拡大により、27年に台湾企業を超える市場シェアを獲得すると予測したことを伝えた。
DSETのレポートによると、中国の半導体戦略はチップ生産能力の拡大から世界のレガシーチップ市場で主導権を握る方向に変わってきている。
レポートは「24年のレガシーチップ生産能力における世界シェアにおいて、中国は34%に達している。台湾の43%より低く、米国の5%より高いが、中国のチップ生産力がこのまま拡大を続けた場合、27年以降は中国が47%までシェアを伸ばし、台湾が36%に、米国が4%にまで減少すると予測される。中国が台湾に取って代わり、世界最大のレガシーチップ生産国となれば、国防システムにも関わる全世界の企業が中国に依存することとなり、民主主義を採用する各国にとっては大きな脅威となる」と指摘した。
レポートは最後に「中国のレガシーチップ生産力への大規模な資金援助に対し、民主主義の同盟各国が対策を打たなければ、世界のサプライチェーンに中国への依存度が増加してしまう。欧米や日本、韓国などの科学技術の進んだ民主主義の国家間で健全なサプライチェーン構築のために協議し、米国だけの一方的な関税ではなく、各国が連携して関税をかけ、対中投資を制限するなど協力し、方策を研究した方が良い。そうすることで、中国のチップ生産力拡大がもたらすショックに有効なけん制ができるだろう」と論じた。(翻訳・編集/原邦之)