ウクライナ戦争で対ロシア支援はしていないはずの中国と中国企業がしっかりロシアに加担していることが明らかになったと米誌ニューズウィーク(NW)が報じた。ウクライナの情報当局は「防空兵器の位置を把握する役割などを担うロシアの新型ドローンは構成部品がすべて中国製」と明らかにした。
NWによると、ウクライナ国防情報局(DIU)は戦争と制裁に関する情報ポータルで、ロシアの新型ドローンの内部構造を公開した。偵察およびデコイ(おとり)用で、ウクライナの防空兵器の位置を把握する役割などに使うドローンだという。
「UAV(無人航空機)CBTS.611000」と呼ばれるこのドローンは、上から見ると三角形のデルタ翼型の機体を持ち、ウクライナに大きな被害をもたらしたイラン製「シャヘド136(ロシア名ゲラン2)」に似ているが一回り小さいという。
構成部品はすべて中国製で、そのうち約半数がCUAVテクノロジー社製。自動操縦機能付きのフライトコントローラー、ナビゲーションモジュール、アンテナ、速度センサーなどが含まれ、最大15キロの弾頭が搭載できる。
CUAVテクノロジーは2022年10月、ウクライナおよびロシアへの供給制限を表明していた。ドイツ陸軍のクリスティアン・フロイディング少将はポッドキャストで「中国は現在、ウクライナへのドローン部品輸出を完全に停止し、代わりにロシアに供給している」と述べた。
また、25年6月にウクライナ対外情報機関の報道官オレフ・アレクサンドロフ氏は米政治メディアのポリティコに対し、「中国のメーカーは引き続きロシアに対してドローン製造用のハードウエアを供給している」と語った。
その内容は電子機器、ナビゲーション、光学機器、テレメトリーシステム、モーター、マイクロ回路、プロセッサーモジュール、制御基板、アンテナフィールドシステムなど多岐にわたる。
ロシアはウクライナのインフラ攻撃を激化させる中で、ドローン生産を強化している。ロシア・タタールスタン共和国カザン近郊の工場を映したプロパガンダ映像では、これを世界最大級のドローン製造拠点と紹介。独国防省は「11月までには一晩で2,000機を発射できるようになるだろう」と警告している。
中国はこれまで、ロシアへのドローンや兵器用の部品の供給を否定してきた。NWは「今回の報告が事実であれば、ロシアを支援した国にも制裁を科す二次制裁の実効性にも疑問が投げ掛けることになる」「外国による戦争支援の実態にさらなる注目を集めることになる」と伝えた。(編集/日向)