2025年8月4日、観察者網は、中国の民営石油会社がイラクで存在感を増していると報じた。

記事は、ここ数年で中国と中東諸国の産業・投資協力が加速していると紹介。

中でも西側のエネルギー大手企業がイラクでの事業を縮小する中で、中国の民営石油会社が投資を拡大していると伝えた。

そして、州際油気や聯合能源、中曼石油、安東油田服務の中国民間石油企業4社の幹部が、より魅力的な契約により中国の民間石油会社はイラクでの石油生産量を30年までに現在の倍に当たる1日50万バレルにまで増やすとの見通しを示したことが、4日に公開された情報で明らかになったと紹介。これらの民間企業は昨年イラク国内の半分の石油探査許可を獲得したことで注目を集めたとしている。

その上で、中国企業が迅速な開発スピードやコスト競争力、困難な環境への適応力、そして取引のシンプルさといった強みを持っていると指摘。開発速度では欧米企業が5~10年かかるプロジェクトを中国民間企業なら2~3年で実現できるとしたほか、単一油井の開発コストも10年前の約半分に抑えられると伝えた。また、これらのメリットからイラクのパートナー企業からは「欧米企業よりも取引が楽」と評価されていると紹介した。

一方で、かつては中国企業による自国の油田に対する影響力の制限を試みていたイラクにとっても、石油生産能力の拡大を目標とする中で敏しょう性が高く、開発コストを低く抑えられる中国企業との提携はウィンウィンになると説明。欧米企業が手を付けようとしなかった小規模油田に中国民間企業が積極的に投資を行っていることも、イラクにとっては大きなメリットだと伝えた。

さらに、イラクが油田開発契約を固定費用から利益分配制へと変更したことも、開発に積極的な中国民間企業にとっては追い風になったとしている。

記事は中国民間企業の具体的な投資状況として、州際油気がイラク南部バスラ・プロジェクトに8億4800万ドル(約1250億円)を投資し、中曼石油もイラク中部と東部の油田開発生産プロジェクトに4億8100万ドル(約710億円)を投資することを明らかにしていると紹介した。(編集・翻訳/川尻)

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