2025年8月14日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)の中国語版サイトは、西アフリカ沿岸の漁業が温暖化と中国による乱獲という2つの大きな危機に直面していると報じた。
記事は、ハーバード大学の附属研究機関が5月に発表した報告書で、西アフリカのギニア湾沿岸漁業が海洋の温暖化と違法漁業という二重の脅威にさらされていると評したことを紹介した。
海洋温暖化については、世界の温室効果ガスが放出するエネルギーの約9割を海が吸収していることで海水温度が上昇し、酸素濃度が低下して、魚類の餌が不足していると指摘。水深が浅い、あるいは中程度の海域に生息する小型の魚類が大規模な移動を余儀なくされており、この状況を示す実例として現地の主要な漁獲資源であるカタボシイワシの生息域が1995年以降10年ごとに181キロ移動していることを挙げた。また、国連食料農業機関によると、今世紀末までにギニア湾の海洋表面温度が1.6~3℃上昇する可能性があると伝えた。
違法操業については、主に中国企業が所有する大型トロール船が現地の排他的漁業区域に無許可で侵入し、破壊的な底引き網漁を頻繁に行っていると指摘。中国政府が世界の海で操業する自国の大型トロール船数を2600隻と発表している一方で、NGO(非政府組織)の調査では約1万7000隻に上っており、両者のデータに大きな開きがあることを紹介した。
記事は、これら2つの要因により当該海域の漁獲量は急減しており、1993年から2019年の間にガーナの漁獲量が59%、コートジボワールでは約40%それぞれ減少したと紹介。ハーバード大学が23年に実施した調査では、両国の漁師の9割が「次の世代以降は漁業を生業にできないだろう」と認識していることが明らかになったと伝えた。
記事はこのほか、アフリカ地域が淡水漁業でも過剰漁獲や汚染、気候変動などにより危機に瀕(ひん)していることを紹介した。(編集・翻訳/川尻)