2025年8月25日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)の中国語版サイトは、フィリピンの市民を対象とした調査で、8割以上が中国を信用していないことが明らかになったと報じた。

記事は、フィリピンの世論調査機関OCTA Researchが8月25日に発表した世論調査の結果を紹介している。

記事によると、調査は7月12~17日に同国内の18歳以上の成人1200人を対象に実施した。

調査では85%が「中国を信頼できない」と回答し、「信頼できる」はわずか15%に留まった。特に55~64歳の年齢層で不信任の比率が最も高く、89%に達したという。また、最大の脅威となる国についての質問では中国が74%に達し、2位のロシアと北朝鮮の各4%を大きく引き離す結果になった。

中国を信用せず、脅威と捉えている人が多い理由について記事は、南シナ海での侵略行為や中国からの密輸品による国内産業への損害、国内での中国人による犯罪増加、中国人労働者との雇用競争といった点が挙げられたと紹介している。

一方で、フィリピン政府による南シナ海の主権主張姿勢を支持する人の割合が76%に達し、支持しない人の3%を圧倒する結果になったことにも言及。この結果についてフィリピン海軍のロイ・ビンセント・トリニダード報道官が25日「南シナ海で直面する脅威と、海洋権益を守るための政府の努力を理解していることを示すもの」と評価し、フィリピン軍が領土保護への決意をさらに固めることになると述べたことを伝えた。

記事は南シナ海問題について、フィリピンが主張する「国連海洋法条約(UNCLOS)」に基づき200カイリの排他的経済水域(EEZ)と中国の主張する「十段線」の領域が重なっていることから、両国が長年、係争海域で衝突を繰り返していると解説。今月11日にはスカボロー礁の周辺海域で、フィリピン沿岸警備隊の巡視艇を駆逐しようとしていた中国海警局と中国海軍の船が衝突する事故が起きたと紹介した。

また、フィリピンが主権の象徴として座礁させている「シエラマドレ号」があるセカンド・トーマス礁付近では中国の海警船などが高圧放水銃の放射を始めとする訓練を行っており、フィリピン軍が監視を強化しているとも報じた。(編集・翻訳/川尻)

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