中国広東省深センで急成長する半導体設備メーカー、新凱来が存在感を高めています。9月4日に開かれた第13回半導体設備・核心部品展で、同社が現在抱える受注額が100億元(約2080億円)を超えていることが明らかになりました。
業界関係者によると、2026年は先端製造プロセス向け設備での受注が急増する見込みです。2022年に深セン市が海外依存を減らすため巨額の投資をおこなったことを背景に誕生した新凱来は、国産化100%の半導体製造設備を目指しています。
同社の急成長はサプライチェーンにも波及しています。精密部品メーカーの利和興は、新凱来向けの供給で年間売上高を倍増できる可能性があると説明しています。

新凱来は華為技術(ファーウェイ)の2012研究所から独立した部門を前身とし、国内外の専門家を集めています。2025年3月には「SEMICON China」で原子層堆積装置など5種類の新型設備を披露し、業界の注目を集めました。前工程設備の多くをカバーする技術力は「北方華創など複数企業を合わせた存在感」と評されます。
さらに、上海市内にテスト用ウエハー工場を設け、国産部品の性能検証を加速しています。2万人規模の社員が3交代制で研究開発に取り組む企業文化も急成長の原動力となっています。
深センでは新凱来に加え、先端プロセスやメモリーに特化した新たな半導体工場の建設も進んでおり、地域全体で産業集積を強化中です。ファーウェイも最新の折り畳みスマートフォンに新型「麒麟」チップを搭載するなど、中国の半導体産業は国産化と自立化に向けた歩みを加速させています。