中国最大の経済都市・上海市は中国で多国籍企業の地域本社が最も集積する都市としての地位を維持していると中国メディアが報じた。「十四五」(第14次五カ年計画、2021~25年)」以降、上海市で新たに認定された多国籍企業の地域本社は279社に達し、現在の総数は1050社となっている。
中国網は「貿易・外資の安定促進と高水準対外開放の拡大」をテーマに8日から始まった「活力中国リサーチ行動」上海シリーズを紹介。上海市商務委員会の羅志松総経済師は説明会で「上海は常に外資系企業が最も重視する投資先の一つであり、その開放と革新の施策は常に先導的役割を果たしている」と強調した。
説明会で発表されたデータによると、「十四五」以来、上海市の実行ベース外資導入額は累計980億ドル(現レートで約14兆4000億円)を超え、年平均新設外資系企業数は5700社以上に上る。全国の外資導入に占める上海市の割合は20年の14%から24年には15.2%に上昇。25年1~5月期に上海市内で新たに設立された外資系企業は約2500社で、実行ベース外資導入額は76億ドルを超えている。
外資系企業のうちアジア地域以上の広域本社は157社を数える。国際金融センターの中核地域である陸家嘴地区を例にすると、現在この地域には264社の企業本社が立地し、多国籍企業の地域本社は148社だ。本社機能を核としたビジネスサービス業の売上高は同地域の総売上高の約半分を占める。
世界的に有名なコンサルティング大手のアーンスト・アンド・ヤング(EY)は今年7月、上海市の第41次「多国籍企業地域本社」認定証書を授与された。同社は人工知能(AI)、グリーンファイナンス、ESG(環境重視型)投資などの分野におけるサービス提供能力を強化し、外資系企業の中国市場参入や中国企業の海外進出を支援する橋渡し役としての役割を果たすことに注力している。
EYのヨーロッパビジネスネットワークグローバル責任者は「上海は外資誘致の拠点として投資環境が整備されており、上海市政府が地域本社の設立を積極的に支援し、その発展を後押ししている」と語った。
こうした背景から、責任者は「EYおよびそのクライアントは中国への投資に対して長期的な視野を持っており、この姿勢も極めて重要だ」と指摘。
日系コンサルティングファーム・アビームコンサルティングの中国本社である徳碩管理咨詢(上海)有限公司は、03年の上海進出以来20年以上にわたり中国事業を展開し、従業員数は現在1100人を上回る。
同社GCR地域統括(董事長)の中野洋輔氏は「上海は数多くの金融機関と高度人材が集積し、同社に豊富なビジネスチャンスと人材サポートを提供しており、これが中国市場での急速な発展を支える重要な要素」と説明した。(編集/日向)