水深4070メートルの暗い海山域で、全長約32センチメートル、翼幅約18センチメートル、重さわずか670グラムの「ソフトフィッシュ」が自在に遊泳している。この特別な「魚」はハルビン工程大学船舶工程学院の李国瑞教授研究チームが開発した最新成果の電気油圧駆動式深海ソフトロボットだ。
この電気油圧駆動式深海ソフトロボットの機体には、制御回路、センサー、バッテリーなどが集積されている。研究チームは、ロボットのソフトアクチュエーター、光学センサー、電子部品、ソフト基体などを力学的に最適化し、深海の高圧環境下でも内部応力状態がより安定するようにした。さらに巧妙なのは、柔軟な電気油圧ユニット内部の誘電液体が深海水圧と自動的に平衡することで、追加の耐圧外殻を必要とせず、全水深の静水圧に耐えられる点だ。
さらに、このソフトロボットは微小深海光学センシングシステムも搭載しており、深海の極限環境下で自らの運動状態や周囲の環境をリアルタイムに感知できる。
ロボットの深海探査作業における信頼性をさらに実証するため、広東スマート無人システム研究院、広州海洋地質調査局、浙江大学、中国船舶科学研究センターなどの支援を受け、研究チームは南海の海馬コールドシープや海山域などで複数回の海上実験を行った。
2024年6月13日深夜、チームが開発した深海ソフトロボットは南海の水深3176メートルで展開を完了。海上試験映像では、ロボットが深海の複雑な潮流環境下で複雑な軌道運動、海底付近の感知探査、自律的な姿勢制御、帰還など一連の任務を遂行し、深海の極限圧力や複雑流動環境における確かな機動性と感知能力を証明した。
同年7月4日から6日にかけて、このロボットは海馬コールドシープで複数回展開され、水深約1369メートルの環境下で低攪乱探査任務を成功裏に実現。その後、ロボットは6000メートル級深海ROV「海星」号に搭載され、水深約4070メートルの海山域で航行試験を行い、深海潜水艇と小型ソフトロボットの協働による広域・低攪乱の深海探査の実現可能性を探った。(提供/人民網日本語版・編集/YF)