香港メディアの香港01によると、中国では最近になり、広東省深セン市地下鉄の宝安駅の入り口で、幼児3人が「置き去り」にされている映像が注目を集めた。3人は敷物に寝そべったり、その場で遊ぶなどしていた。
記事によると、3人は兄1人と妹2人で、父親はバイクタクシーの運転手だが母親が「失踪」したために子どもを世話する人がいなくなり、3人を自分が普段客待ちをする駅の前にいさせたことが分かった。
中国では、特に都市部では、小学生以下の年齢の子が外出する場合、親や祖父母など大人が付き添うことが一般的だ。事故や誘拐を恐れることが、大きな原因の一つだ。中国人は、日本で小学生が子どもだけで登下校したり、さらに電車通学をする様子に接すると、大いに驚くことが珍しくない。それだけに、幼児3人だけが駅入り口に「放置」された様子が注目を集めたとみられる。
映像には3人の子どもがそれぞれ遊んでいる様子が映っており、1人は狭い範囲で走り回り、他の2人は1人が寝そべり、もう1人は座って手を振っていた。3人がいる場所には敷物が敷かれており、水の容器が置かれていた。

報道によると、地下鉄駅の入り口にいたのは、3歳の兄と1歳半の妹2人と分かった。父親はバイクタクシーの運転手で、「妻は数カ月前に、長男にスマートフォンを渡し、食事を作ってそのまま家を出て行った」と説明した。中国で報じられた時点で、3人の母親は「失踪中」だった。
父親は毎日仕事をせねばならず、子どもの世話をすることができなかった。そこでやむをえず、客を得るためによくいる地下鉄の駅の前に子どもをいさせ、仲間の運転手に、自分がいないときには子どもの様子を見るよう頼んでいたという。
深セン市地下鉄は16日、この問題に対応しようとしたが、父親が意思疎通を嫌がったために、近隣の「社区」に連絡した。中国の社区とは地域の末端に位置する行政組織で、上級の行政組織の指導を受けつつ、住民自治の機能も果たしており、特に都市部では住民に対する生活支援や福祉、治安維持などを担っている。日本では「コミュニティー」という言葉で紹介される場合もある。
深セン市地下鉄によると、幼児3人は社区のワークステーションで面倒を見てもらえることになったという。(翻訳・編集/如月隼人)