中国メディアの中国新聞週刊は15日、「ガソリン車は終わらないのか?」と題する記事を掲載した。

記事は、「新エネルギー車(NEV)の急速な発展により、ガソリン車は近い将来なくなると言われていた。

しかし、最新のデータでは依然としてその市場は有望であり、複数のブランドが一斉に攻勢を仕掛けるなど、回復の兆しを見せている」と伝えた。

中国自動車工業協会のデータによると、2025年8月の内燃機関車(ガソリン車など)の販売台数は前年同期比13.5%増の90万2000台に達した。24年通年の販売台数は1398万9000台で前年比17.3%減だったものの、今年1~8月は874万7000台で前年同期比の減少幅は0.3%にまで縮小。直近3カ月は連続して増加している。

記事は、ポルシェが電動自動車(EV)投入計画の一時中断と内燃機関への回帰を発表したこと、広汽トヨタがシエナなど4モデルのガソリン車スマート版を一斉投入したことのほか、内燃機関車の分野で好調だった奇瑞汽車が9月25日に香港証券取引所を果たしたことが「ガソリン車の発展に一種の強心剤を打ち込んだ」と評した。

米J.D.パワーの中国地区自動車製品事業部の楊涛(ヤン・タオ)総経理は「新エネ車が急速に普及する中でも、伝統的なガソリン車は依然として強い競争力を保ち、さらに大きな進歩の余地を秘めている。より低燃費、魅力的なデザイン、そして同クラスの新エネ車と比べて価格面で優位性を持つことが、消費者に『今ガソリン車を選ぶ理由』を明確に認識させている」と分析した。

今年1~8月、中国の乗用車市場における新エネ車の浸透率は55.3%だったが、内燃機関車は依然として45%のユーザーを握っていた。記事は「現在の自動車市場の競争環境では、価格が消費者を引きつける重要な手段となっている」と指摘。「今年は日系ブランドや中国ブランドを含む多くの自動車ブランドが、ガソリン車の価格を8万元(約160万円)以下に引き下げ、装備も向上させる施策をとった。これによりガソリン車のコストパフォーマンスが大幅に向上した」とし、最も典型的な例として「一律価格」を打ち出してV字回復を見せた上汽通用汽車を挙げた。

記事は、「今年に入ってゼネラルモーターズ(GM)、メルセデス・ベンツ、マツダ、スバル、トヨタなどの複数の自動車メーカーが電動化戦略を一時保留し、内燃機関技術への投資を継続すると発表した。

中国メーカーも同様に『二重戦略』を採用している」とし、「ガソリン・電動の両輪スマート化」がますます強い将来的な方向性になっていると指摘。「新エネ車とガソリン車が共存する状態は、消費者の多様なニーズを満たすだけでなく、技術の継続的な改善と成熟を促進する上でも有利である」と論じた。

そして、全国乗用車市場情報連合会の崔東樹(ツァイ・シュードン)事務局長がEVを含む新エネ車が依然として輸出の主力であることに言及しつつ、「中国の自動車産業は新エネ車分野で驚異的な巻き返しを果たしたが、ガソリン車やハイブリッド車にも需要が存在する。自国ブランドは過度に一分野に偏るべきではない」との考えを示したことを伝えた。(翻訳・編集/北田)

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