2025年10月20日、第一財経は、リコールで企業が自主的に申し出たものは半数以下にとどまるなど、中国自動車市場の品質確保や安全性をめぐる問題を報じた。

記事はまず、国家市場監督管理総局のデータとして今年9月までに中国で実施された自動車のリコール数3230件、対象台数延べ1億2000万台のうち、監督当局の調査を受けて実施されたものが約53%を占め、企業が自主的にリコールを申し出た事例は半数に満たないと紹介。

特にここ数年は運転支援システムに関連するリコールが急増しており、昨年には約255万台が回収対象となったことを指摘し、急激な技術革新と商用化が進む中で、自動運転技術の安全性と品質が重大な課題として浮上していると伝えた。

そして、具体的な事例として、9月には「高速道路での自動支援走行時に、特殊な走行環境を正確に認識できないケースがあり、衝突リスクが高まる可能性がある」として、小米汽車(シャオミ)が電気自動車(EV)「SU7」約11万7000台がリコールされたほか、今月にもBYDと吉利汽車の計約16万台が電気の安全や環境基準の不適合を指摘されてリコール対象になったと紹介した。

記事はその上で、安全や品質の確保に向けた行政の取り組みについて言及。国家市場監督管理総局欠陥製品リコール技術センターの王乃鋁(ワン・ナイリュー)王副主任が「ここ2年で電気自動車や高出力充電電池、車載チップなどの品質向上を目的とした『強靱(きょうじん)な品質向上プロジェクト』を実施し、産業およびサプライチェーンの耐性と安全性を効果的に高めた」と紹介したことなどを伝えている。

さらに、当局が現在までに車載情報システムの欠陥や無線アップデート(OTA)などを含む新技術分野の基準も含む、自動車製品の安全およびリコール管理に関する国家標準19件を発表したことにも言及。産業政策面でも、工業情報化部が2025年度の車両製造業者に対する生産監査を実施中であり、構造設計や衝突安全、電動車の安全要件などを重点的に調査しており、その背景には「技術競争の過熱により、十分な検証を経ないまま市場投入される不成熟なシステムが増えていること」があるとした。

記事は、OTAを活用したリコールが増えており、昨年自動車メーカーによるOTAを通じたリコールが19回発生し、対象台数は406万8000台と前年の3.5倍近くに達したことを伝えた。国も、OTAリコールを行った場合は直ちに対象車種の生産、販売を停止し、問題が解決し認可が得られるまで再開できないようにするなど、OTAリコールに関する管理、規制を強化していると紹介した。

王副主任は「安全確保の責任は最終的に企業にある」と述べ、開発段階から安全性を最優先に位置づける必要性を強調した上で、国としては今後もリコール制度の高度化と監督強化を進め、虚偽宣伝や過剰競争を抑止する新たな施策を検討していることを明らかにした。(編集・翻訳/川尻)

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