「5時間並んで、ようやく買えた。すごくいい出来栄え」と話すのは、わざわざ遠方から四川省成都市の撫琴夜市にあるカートゥーンパンケーキの屋台に来たという朱さん。

彼女が買ったオーダーメイドのパンケーキを作るこの屋台は、各種ショート動画プラットフォームで人気が高騰している。一般的なパンケーキと異なり、店主は高温の鉄板をキャンバス代わりに、まるで「絵を描く」ようにパンケーキを焼き、焼きあがった1枚1枚がネットユーザーから「芸術品」と絶賛されている。

女性店主の曾雅●(ズン・ヤーシン、●は「金」三つ)さんはグルメとアートを融合させ、チョコレートで輪郭を描くと、卵や牛乳などで作った生地を流し込み、さまざまなアニメなどのキャラクターを描き出していく。ネットユーザーからは「カートゥーンパンケーキ・クリエーティブ・ディレクター」と呼ばれている。また、「美大生の新たな就職スタイル」といったコメントも寄せられている。

5時間待ちで「もったいなくて食べられない」パンケーキとは?―中国

美術を専門に学んだ「95後」(1995年以降生まれ)の曾さんは、以前は教育トレーニング機関で働いていた。成都のナイトマーケットの人気ぶりを見て、ナイトマーケットでの起業を思い立ち、8月に屋台を開いた。「ナイトマーケットを巡っていたときに、パンケーキを焼くというアイデアが突然ひらめいた。1カ月ちょっと自宅で練習を重ね、屋台を出すことを決めた」と話す。考えをめぐらし、美術や絵画が好きという特技と趣味を生かして、起業という新たな道を選んだのだという。

カートゥーンパンケーキ屋台が開くと、毎日午後4~5時ごろから小さな屋台の周りには買物客が三重にも四重にも取り囲むようになる。客は全国各地からやってくるが、時間と体力に限界があるため、焼けるのは1日に40枚程度だという。

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整理券を手に入れた買物客は、定番デザインの中から選ぶか、作ってもらいたいキャラの写真を提供して作ってもらうことができる。曾さんはこれらのデザインを見ながら、さまざまな色合いのソースを使って正確にそれを再現していく。夜が更けて10時になっても、撫琴夜市はごった返し、とてもにぎわっていた。曾さんは「成都のナイトマーケット経済の活況ぶりが、屋台を開いて起業する自信を与えてくれた。最初は恥ずかしさもあったが、だんだんと多くの人に認められるようになり、今では心から満たされている」とした。そして、「人生において、失敗を恐れたり、自分自身を疑ったりするより、勇敢に挑戦し、自分を信じ、楽しさを得るべきだ」と話した。(提供/人民網日本語版・編集/KM)

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