中国科学院理化技術研究所はこのほど、3Dマイクロナノロボットの開発に成功しました。この技術は、体内で病気を治療する「ナノ医師」の実現に向けた大きな一歩となる可能性を秘めています。

この微小ロボットは小さなクリップのような形状をしており、大きさは約40マイクロメートルと、髪の毛よりも細いものです。柔軟な「機械の手」として機能し、細胞の把持や粒子の放出など精密作業を正確に進めることができます。

機械の手の底部には磁気駆動モジュールが搭載されています。外部磁場から信号を受信すると、このモジュールは「羅針盤」のように磁場の方向に応じて動き、微細な世界の中で自在に移動することが可能です。

特筆すべきは、pH応答性材料を用いた把持機能です。科学者らがpH応答性材料で製作した機械の手は、あたかも「環境探知機」を内蔵したかのように動き、酸性環境下では「両手」が自動的に閉じて細胞を把持し、アルカリ性環境に移ると「両手」が開きます。この「酸に触れれば閉じ、アルカリに触れれば開く」という特性により、人為的な操作を必要とせず、環境に応じて自動的に作業状態を切り替えることができます。

現時点では実験室内での研究段階ですが、医療技術の新たな可能性を示しています。将来的には手術をすることなくがん細胞を正確に把持でき、注射をすることなく標的部位に薬剤を送達できるようになるとのことです。「ナノ医師を飲み込む治療」というかつての夢が、中国の科学者らにより着実に現実のものとなりつつあります。(提供/CRI)

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