秦始皇帝陵博物院と英ユニバーシティー・カレッジ・ロンドン(UCL)はこのほど、国際的に権威ある考古学誌「アンティクィティー(Antiquity)」に発表した共同研究で、始皇帝陵にある木造建築に使用された木材の謎を初めて系統的に明らかにし、秦帝国の巨大な資源動員システムを理解する上で新たな実物証拠を提供しました。

この研究では、兵馬俑1、2号坑、百戯俑坑および石鎧甲坑から採取した炭化木造建築部材のサンプル657点に対して科学的分析を実施しました。

その結果、これらの坑体の主要建築を構成する木材は現地由来ではなく、主に標高の高い山間部に分布する耐陰性針葉樹種が多用されていることが明らかになりました。耐陰性針葉樹種は主に標高の高い山地に分布し、特に分析されたサンプルの中で最も割合が多かったのは松科モミ属です。始皇帝陵に最も近い驪山(陝西省にある秦嶺山脈の山)はこれらの樹種を提供する条件を備えておらず、直線距離で見ると、秦嶺東部の標高の高い山、例えば華山の最高峰・草鏈嶺がより便利な選択肢となった可能性があるとのことです。しかし現在の証拠では、始皇帝陵に使われた木材が、司馬遷の「史記」が述べた「四川、湖北の地材」を否定するには十分ではありません。

今回の研究は始皇帝陵の木造建築遺物に対する初の系統的な分析であり、陵墓建設の材料源の謎を解くことにより多くの証拠を提供しただけでなく、秦帝国の資源管理、生態影響および国家動員能力などの重大な問題を探り、新たな科学的ルートを切り開きました。(提供/CRI)

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