宅配車両が午前9時過ぎ、チベット自治区ラサ市郊外にある物流大手・順豊速運の物流パークに到着。宅配便が一個ずつ次々と下ろされ、長い仕分けコンベアを通り、地域ごとの仕分け箱へと落ちていった。
ラサ市民の強珍さんがネット通販で購入した新しい衣料品もその中に入っていた。この広東省広州市からの宅配便は数千キロの移動を経て、間もなく彼女の手に届けられようとしていた。
1時間ほどかけて行われた仕分けと積み込みを経て、これらの宅配便はパークから再び出発し、各営業所へと運ばれていった。そして営業所では宅配便が種類ごとにエリア別に積まれていく。宅配員はそれぞれの担当エリアの棚から宅配便をテキパキと袋に入れ、車に積み込むと、最終目的地へと向かった。
午後5時過ぎ、最後の配送を担当する宅配員が宅配便を強珍さんに届けた。その時点で、彼女が注文してから72時間もたっていなかった。
中国の宅配便取扱個数は2020年の約830億個から2024年の1750億個に増加し、年平均増加率は約20%。これは1日平均で5億個を超えており、1秒で6000個弱が宅配ルートに入る計算となる。宅配便取扱個数の急増はチベットで特に顕著になっている。
強珍さんは数年前にネット通販を試みたが、支払時に送料があまり高額だったため、キャンセルしたという。「当時は200元ほどの商品に送料が何十元も必要だった」と話す。
送料は近年徐々に下がり、チベット向けに送料無料サービスを提供する店が増えてきた。強珍さんもネット通販を利用し始めるようになり、「2年前に初めてネットで服と靴を購入したが、店が送料を無料にしてくれた」という。
チベット順豊速運の責任者の劉さんによると、順豊のチベットにおける年間受注件数は5年前の約400万件から昨年は1400万件に増加したといい、これはチベットの人々の消費に向けた意欲と能力の持続的な向上を反映しているとした。
持続的な受注増を受け、関係各所は人々の需要をより満たすべく、力を合わせて模索に取り組んでいる。
劉さんは、「以前であれば、宅配便を陸路でチベットまで運ぶには時間がかかり過ぎ、空輸は高すぎた。そこで当社は陸運+空輸というモデルを打ち出し、効率を上げることで価格を下げた」と説明した。
チベット郵政管理当局も、宅配会社とECプラットフォームが現地倉庫や遠隔倉庫を設置し、発送と配送の宅配便をそこで集約して配達することで総合物流コストを削減し、送料無料の実現を支援することを奨励している。
こうした取り組みの影響で、チベットの物流サービス水準が近年、持続的に向上している。チベットのニンティ市に来てから7、8年働いているという広東省出身の黄海芬さんは、「ネット通販で他省からならば通常4~7日で届く。特に速いというわけではないが、チベットに来たばかりの時よりはずいぶん速くなった」と述べた。
より大きな変化は料金だという。黄さんは近年、送料が下がったと強く実感しているとし、「多くの商品が送料無料で、無料でなくても5、6元の場合が多い。











