ロボット開発企業の宇樹科技(ユニツリー・ロボティクス)が社名を「杭州宇樹科技股份有限公司」から「宇樹科技股份有限公司」に変更すると決めたことが明らかになりました。現在、新規株式公開(IPO)に向けた準備を進めており、社名変更はその一環とみられます。

中国証券監督管理委員会の情報によると、主幹事の中信証券がIPOに関する報告書を提出しており、資金調達後の投資計画なども同時に検討が進められています。

「杭州」の地名を外した今回の変更は、単なる形式的な調整ではなく、ブランドの国際化を意識した戦略的な決断といえます。地域企業から全国、さらにはグローバル企業への転換を市場に印象付け、今後の海外資本との連携や国際展開を見据えた布石となります。

2016年に王興興氏が創業したユニツリーは、4足ロボットで業界をリードしてきました。2023年には人型ロボット「H1」、2025年10月にはより人間に近い外観と動作を実現した「H2」を発表し、同社の技術力を示しました。

ユニツリーはこれまでに200件超の国内外特許を申請し、180件以上の認可を取得しています。2025年7月には世界知的所有権機関(WIPO)のグローバルアワードを受賞し、国際的な評価を高めています。顧客にはエヌビディアやメタ、サムスンなど世界的企業のほか、マサチューセッツ工科大学など著名大学も名を連ねています。

ただし、急成長の裏で課題も抱えています。王氏は人材不足と組織効率の低下を指摘し、また知的財産権保護や標準化への関与、技術模倣の問題など業界全体の課題にも直面していると明かしました。

世界的に人型ロボット市場は実用化の転換期を迎えています。今回の社名変更は、ユニツリーがその主導権を握るための第一歩です。

地域色を薄め、国際的なブランドとしての地位を確立することで、同社は「技術先駆者」から「産業リーダー」への飛躍を狙っています。今後、グローバル市場でどこまで存在感を発揮できるかが注目されます。(提供/CRI)

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