2025年11月3日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)の中国語版サイトは、米国が資源の乏しい日本とレアアース戦略の協定を結んだ理由を考察する記事を掲載した。
記事は、米トランプ大統領が10月28日、高市早苗首相との日米首脳会談で重要鉱物およびレアアースの供給確保に関する戦略協定に署名したと紹介。
そして、スマートフォンから電気自動車、軍事機器に至るまで、ハイテク産業に不可欠な材料であるレアアースについて、世界における生産の7割、精錬能力の9割を中国が握っていると指摘。米国が関係国とレアアース戦略を積極的に結ぶ動きを見せているのは、米中貿易摩擦が激化する中でレアアースを「戦略兵器」として活用する中国に対抗するためであり、オーストラリア、マレーシア、タイなどのレアアース埋蔵国との連携を強化していると解説した。
その上で、レアアースを始めとする資源が乏しいことで知られる日本とレアアース戦略協定を結んだ意味について考察。単なる「資源の有無」を超えた、二つの大きな戦略的理由があるとした。
記事は、一つ目の理由として海底資源という「未来の巨大供給源」の確保を挙げ、日本では南鳥島沖の排他的経済水域(EEZ)内で世界最高品位の「超高濃度レアアース泥」が大量に見つかったことを紹介。水深4000~6000メートルの深海底からの採泥・揚泥技術の確立に向け、来年1月からの試験掘削が計画される中、米国がその潜在力に大きな期待を寄せていると伝えた。
二つ目の理由は「強靭なサプライチェーン」を挙げている。記事は、日本が10年に中国からレアアース禁輸措置を受け、「供給源の多様化」「リサイクル技術・代替材料の開発」「戦略的備蓄」の3本柱を国家戦略として推進し、対中依存を約90%から約60%にまで減らした実績を持つと指摘。中でも高性能磁性材料の技術革新による消費量自体の半減や、高度なレアアース回収技術は世界的に見ても優位性があるため、米国はこの点にも大きなメリットを感じていることを論じた。
記事は、レアアース戦略という点で、米国にとって日本が「未開発資源」と「サプライチェーンの即戦力」を兼ね備えた非常に価値の高いパートナーであると紹介。両国の提携は日米主導で脱・中国依存の世界的なレアアース安全保障体制を構築するという、極めて戦略的な意味合いを持っているとした。











