中国国際輸入博覧会を契機に急成長を遂げた日本酒スタートアップ「Sake RD株式会社」(本社:東京)は、中国・江蘇省丹陽市で丹陽頤和食品有限公司と協力し自社ブランドの清酒生産を開始しました。
同社は2022年に日本人の渡辺禄朗社長と中国人パートナーの劉柳氏によって設立され、日本酒文化の普及イベントや、中国の食文化に合わせた提案を続けてきました。
そして今年、いよいよ中国産清酒である「和酝」の本格的な製造に踏み出しています。
渡辺社長は、「輸入博では通常の展示会とは異なり、大企業からの問い合わせが相次ぎ、商談の獲得にもつながった。2023年にはCMGの取材を受け、その報道がヤフーニュース日本版に掲載され、1000万人以上に認知された。その後、想像を超える規模の企業や行政機関からも連絡があり、輸入博の影響力の大きさを実感した」と振り返ります。
同社が輸入販売に加えて現地生産も取り入れたのは、「関税などのコスト課題を解決し、中華料理店への導入を容易にするため」だといいます。より多くの人に試してもらいやすい価格で清酒を体験してもらい、日本からの輸入品へとつなげる狙いです。現地パートナー企業との協業により、従来の輸入製品と比べて、価格を3分の1から半額の2600円前後に抑えることに成功しました。生産面では、日本酒造組合中央会元会長の篠原成行氏の技術指導を受けた頤和食品をパートナーに選び、品質の確保に取り組んでいます。
また、「上海市長寧区から家賃補助などの支援を受けており、行政も日中友好プロジェクトとして協力的な姿勢を示してくれている」と、渡辺社長は話します。
自社ブランドの清酒開発では、中国の食文化に合わせた味づくりにこだわっています。酸味をやや強めに設定した重厚な味わいで、四川料理の辛味や上海料理の甘醤油味との相性を考慮しながら、「中華料理の特徴である油の多い料理にも負けない力強いボディ感」を追求しているといいます。
「お酒は、100回見せるより1回飲んでもらうことが重要」。
現在は日本のベンチャーキャピタル3社から出資を受けており、「中国清酒市場でナンバーワンを目指したい」と意欲を語ります。
輸入博を通じて生まれたつながりは、単なる商品取引の枠を超えて、日中が協働する新たな“ものづくり”の形へと発展しています。
渡辺社長は「文化の継承とは、過去を守るだけでなく、時代に合わせて未来へと紡ぐこと」と語り、日本酒が持つ可能性を中国市場でさらに広げていく考えを明かし、「中華料理が世界に広がったように、中華料理に合う日本酒も世界に広がることを願っている」と語りました。(提供/CRI)











