2025年11月1日、中国のポータルサイト・捜狐に「若者は『鬼滅の刃』から『生殺与奪』を学んだ、では上の世代は?」と題した記事が掲載された。

記事はまず、「劇場版『鬼滅の刃』無限城編 第一章 猗窩座再来が世界的に大ヒットし、関連する話題がSNS上で次々と湧き上がっている。

少し前、ファンの間で『鬼滅の刃』に登場する『四字熟語』に関する話題が出た。『四字熟語』には中国の成語をもとにしたものと、日本独自に創られたものの2種類がある。『笑止千万』『生生流転』などが挙げられ、その中でも特になじみ深いのが『生殺与奪』である」と説明した。

その上で、「竈門禰豆子(かまどねずこ)が鬼化した際、彼女を水柱・冨岡義勇(とみおかぎゆう)に討たれそうになった竈門炭治郎(かまどたんじろう)は涙ながらに命乞いをする。その時、義勇が言い放った名セリフが『生殺与奪の権を他人に握らせるな』であった。ここで使われた『生殺与奪』とは、中国語の成語とほぼ同じ意味で『支配者が他者の生死を決定する権力』を指す。ネットユーザーたちは、普段は学校の勉強を真面目にしない人でも『鬼滅の刃』を見たおかげでこうした四字熟語を覚えたと述べた。これはアニメ鑑賞による思わぬ副産物と言えるだろう」と言及した。

記事はまた、あるネットユーザーが面白いことに「若者は『鬼滅の刃』でこの『生殺与奪』を学んだのは確かだが、我々の世代は『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』で覚えた」と同セリフシーンの画像を添えてコメントしたとし、「このコメントは瞬く間にSNS上で拡散され、多くの同世代の人々の共感を呼んだ。『るろうに剣心』は和月伸宏氏による漫画で、1994年から99年にかけて『週刊少年ジャンプ』に連載されていた。2016に連載開始した『鬼滅の刃』よりもはるかに前の作品である」と述べた。

そして、「両作品の間には20年以上の時差があり、それぞれの時代の読者層が異なるのも当然のことだが、議論が進むにつれ、コメント欄では『るろうに剣心』という作品そのものの魅力を再評価する流れが生まれた」とし、あるユーザーが「廃仏毀釈(明治初期に起こった仏教排斥運動)を初めて知ったのは『るろうに剣心』だった。

この作品は他の『ジャンプ』漫画のように戦闘力どんどん膨れ上がる誇張された描写がなく、主人公も特別な血統や強者に頼らない」と評したことを紹介した。

さらに、他のユーザーたちも「あの時代の歴史は複雑で難しいけれど、『るろうに剣心』を見て理解が深まった」「赤報隊、廃刀令、廃仏毀釈のこともこの作品で知った」「作中には新潟のあまり知られていない地名も多く登場して勉強になる」「戦闘力が上がっていくバランスが絶妙だ。最終章の敵・雪代縁(ゆきしろえにし)は決して最強ではないが、剣心に焦点を当てた演出が緊張感と見応えをしっかり生んでいる」との共感を次々に寄せたと紹介した。

記事は、「この2つの作品には、共通する貴重な点がある。それはどちらも『少年漫画』を単なるバトルや成長物語にとどめず、熱い展開の中に深い人間描写や文化的教養を織り込んでいる点だ。『鬼滅の刃』は家族愛と絆で人の心を打ち、同時に四字熟語を生き生きと記憶に残るものにした。『るろうに剣心』は明治維新という時代を背景に、血統に頼らない堅実な物語によって、歴史を身近で理解しやすいものにしている。もし『るろうに剣心』が今の時代に生まれていたら、きっと再び社会現象になっていたに違いないだろう」と論じた。(翻訳・編集/岩田)

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