「第15次五カ年計画(2026~30年)」提案は、「先見的に未来産業の布陣を敷き、多様な技術ルート、典型的な応用シーン、実現可能なビジネスモデル、市場規制・監督ルールを模索し、量子科学技術、バイオマニュファクチャリング、水素エネルギーと核融合エネルギー、ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)、エンボディドAI、第6世代移動通信(6G)などを新たな経済成長分野にしていく」ことを打ち出した。中国は積極的に未来産業を育成して、質の高い発展に新たな原動力を注入し続けている。

このほど記者は、関連分野の研究者や企業経営者に未来産業の「現在進行形」について取材した。人民日報が伝えた。

【第3回】劉葉(リウ・イエ)中国核工業集団核工業西南物理研究院党委員会書記

「人工太陽」の夢の実現が近づく

エネルギーは人類文明の進歩の基盤であり、原動力だ。核融合エネルギーは燃料が豊富で、環境に優しく、その特性上安全で、長周期の放射性廃棄物を発生させないなどの利点を持つ。

制御核融合は「人工太陽」とも呼ばれ、太陽の発光・発熱原理を模倣し、水素同位体である重水素と三重水素の核融合反応によってエネルギーを放出する。世界の核融合エネルギー分野は重要な発展段階に入っている。先進国は研究開発投資を拡大し、核融合エネルギーの発展戦略とロードマップを策定している。

持続的な努力を経て、中国の制御核融合研究は「追走から並走へ」、そして一部の分野では「リード」するレベルに達するという歴史的飛躍を遂げた。制御核融合技術におけるブレークスルーは人工知能(AI)、高温超伝導、材料科学などの先端技術分野の発展も後押しする。

中国の核融合エネルギー開発におけるナショナルチームであり主力部隊でもある中国核工業集団核工業西南物理研究院(西物院)は、「中国環流三号」を含む世界的先進レベルの実験装置群を完成させ、複数の主要技術やコア技術においてブレークスルーを遂げた。先ごろ、「中国環流三号」はイオン温度1億2000万度、電子温度1億6000万度(いずれも摂氏)という「ダブル1億度」の高パラメータ運転に成功し、中国の核融合装置運転における新記録を樹立した。

10月には世界初の国際原子力機関(IAEA)核融合エネルギー研究・研修協力センターが西物院に設置された。

これは中国が世界の核融合分野において積極的な参加者から重要な推進者・ルール制定者へと歩みを進めたことを示している。中国は核融合エンジニアリングの実践において強固な基盤を築いており、実験炉や商用実証炉の建設という目標に向けて着実に前進している。「中国環流三号」は2027年までに燃焼プラズマ実験を実施し、中国の核融合実験炉建設を積極的に後押しする見込みだ。今世紀半ばには核融合による商業発電の実現が期待される。(提供/人民網日本語版・編集/NA)

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