2025年11月30日、中国メディアの観察者網は、中国の人型ロボットメーカーが公開した動画について米国企業が「捏造(ねつぞう)」疑惑を提起したことを紹介しつつ、中国の製造業が急速に進化していることを報じた。

記事は、中国のロボットメーカー優必選(UBtech)が11月14日、人型ロボット「Walker S2」数百台が倉庫内に整然と並び、一斉に頭を動かし、腕を振り、コンテナへ入っていく映像を公開したところ、米AIロボティクス企業Figureの創業者兼CEOであるブレット・アドコック氏がSNS上で「天井の照明の反射パターンから判断してCG映像であり、後面のロボットは偽物」と捏造の可能性を示唆したと伝えた。

そして、優必選がアドコック氏の疑念に対して、ドローンで1人称視点撮影した「ノーカット、原音、等速」の動画を公開した上で、疑念を抱く者は自分の目で直接確認するよう呼び掛けたと紹介。また、優必選の最高ブランド責任者が、批判の多くは「中国の製造業の能力、サプライチェーンにおける協調システムの優位性に対する認知不足」によるものだと指摘し、「実際に中国を訪れて人型ロボット産業の活況を見るとともに、サプライチェーンに参加して現状を把握するべき」と語ったことを伝えた。

記事はその上で、中国の人型ロボット産業が急速に発展している背景として3点に言及している。まず世界中の開発者を巻き込み、応用エコシステムの共同構築を加速させる「オープンソース戦略」と、高速なイレーション(反復)によって週に1回のバージョンアップを実現し、設計からプロトタイプ完成までわずか半年という「驚異的な開発速度」を挙げた。

次に、数百のロボット開発企業やサプライヤーが集積した広東省深セン市南山区のロボットバレーを例に取り、川上から川下までが一体化した緊密なサプライチェーンを実現していることを紹介した。

そして、深セン市政府が巡回検査や消防など、公共の利用シーンを積極的に開放することで、企業に実用化を加速させるチャンスを与えていることを指摘した。

記事は、中国において人型ロボット産業がすでに新エネルギー車製造、コンピューター・通信・消費電子(3C)生産、スマートロジスティクスなど、さまざまな分野に浸透するとともに、コンシューマーレベルでの普及につながる高性能で低価格なモデルも発売されていると紹介。一部の重要部品ではなおも欧米企業に遅れを取っているものの、人工知能(AI)技術の進歩や電気自動車(EV)の発展に伴う大規模なモーター産業の育成により、世界の人型ロボット産業において決定的な優位性を獲得していると伝えた。(編集・翻訳/川尻)

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