2025年12月3日、中国メディアの第一財経は、高市早苗首相による新たな経済対策が市場に与える影響について論じる記事を掲載した。
記事は、高市首相が11月21日に発表した経済刺激計画によって円安が進行し、インフレ圧力が高まったと紹介。
記事は、総額21兆3000億円に及ぶこの経済刺激計画が市場予想をやや上回る規模で、その内訳は家庭への補助金・所得支援が55%(11兆7000億円)と消費支援に重点が置かれ、次いで半導体など戦略産業への投資(34%)、国防・外交(8%)となっていることを紹介。計画により来年のGDP成長率が0.5ポイント押し上げる効果があると試算しつつも、日本の低い消費傾向などから、その効果は米国やドイツに比べて限定的であると指摘した。また、財政刺激により26年の日本の財政赤字率は3%に拡大するものの、それでも先進国の中では中低水準にとどまると分析している。
そして、日本政府による財政拡大は日銀の金融政策に直接的な影響を与えると指摘。対策に含まれる電気・ガス料金補助の延長やガソリン暫定税率の廃止は、短期的に総合消費者物価指数(CPI)の上昇率を押し下げる効果を持つものの、財政刺激自体が人為的に総需要を押し上げることにより、コアインフレの粘着性(高止まりしやすい状況)が高まり、中期的な上昇圧力を強めることになると指摘。高市首相が利上げに慎重な日銀の独立性を尊重する姿勢を維持しても、財政拡大を進めればインフレ抑制のために日銀は利上げ(金融引き締め)を迫られる事になり、緩和的な財政拡大と金融引き締めという「政策の衝突」構造が生じると論じた。
さらに、この「財政拡大対金融引き締め」という矛盾した政策の組み合わせは、国際的な資金の流れを左右するキャリートレードの反転リスクを極限まで高めるとも指摘。日本の金利が上昇することで日米の金利差が急速に縮小する上、政策ロジックの矛盾が市場予測を混乱させ、為替や債券市場の変動率(ボラティリティ)を大きく増幅させることにより、「日米の金利差の大きさ」と「市場のボラティリティの低さ」というキャリートレードにとっての魅力が失われることになると伝えた。
記事はその上で、日銀がタカ派化の道を進む一方で、FRBがハト派化するという政策のミスマッチ時期に、キャリートレードの反転リスクが極大化して市場に大きな衝撃をもたらす可能性があるとして、投資家に厳重に警戒すべきだと指摘している。(編集・翻訳/川尻)











