シンガポール華字メディアの連合早報は3日、世界的に深刻なメモリチップ不足が物価を押し上げ、人工知能(AI)インフラ整備に衝撃を与えるとする記事を掲載した。

ロイター通信の報道として伝えたところによると、世界的に深刻なメモリチップ不足により、この地味だが重要な部品の価格が高騰する中、AI企業や家電メーカーは減少する供給を巡る争いを強いられている。

日本の家電量販店は消費者が購入できるハードディスクドライブの数量制限を開始した。中国のスマートフォンメーカーは価格上昇を警告している。事情に詳しい3人の関係者によると、マイクロソフト、グーグル、バイトダンスなどのIT大手はマイクロン、サムスン電子、SKハイニックスなどのメモリチップメーカーからの供給確保に奔走している。

供給不足はほぼすべての種類のメモリに及んでいる。市場調査会社トレンドフォースによると、一部のセグメントの価格は2月以降、2倍余りに上昇した。

サムスンは11月、サーバー用メモリチップの価格を最大60%引き上げた。コンサルタント会社カウンターポイントリサーチは、先端メモリとレガシーメモリの価格が第4四半期(10~12月)までに30%上昇し、2026年初頭にはさらに20%上昇する可能性があると予想している。

エヌビディア、グーグル、マイクロソフト、アリババなどのテクノロジー大手がけん引する先端半導体への旺盛な需要に応えようとする業界の取り組みが二重のジレンマを生み出していることが、半導体メーカーと流通業者の幹部を対象とした調査で明らかになった。半導体メーカーは依然としてAI競争に必要なハイエンド半導体を十分に生産できていない一方で、従来のメモリ製品からの転換がスマホ、PC、民生用電子機器への供給を圧迫している。この転換は、従来型のデータセンターやPCの買い替えサイクル、そして従来型のチップを搭載したスマホの売り上げが予想以上に好調だった時期と重なる。

トレンドフォースによると、コンピューターやスマホに主に使用されるダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)のサプライヤーの平均在庫レベルは、24年後半には13~17週間だったが、今年7月は3~8週間に、そして10月には2~4週間に減少した。SKハイニックスの予測によると、メモリ不足は27年後半まで続く。

その影響はテクノロジー業界だけにとどまらない。多くのエコノミストや企業幹部は、メモリ不足の長期化がAIによる生産性向上を鈍化させ、数千億ドル規模のデジタルインフラ整備を遅らせるリスクがあると警告している。多くの経済圏が物価上昇を抑制し、米国の関税に対処しようとしているまさにその矢先にインフレ圧力を高める可能性もある。

テクノロジーコンサルティング会社グレイハウンドリサーチの最高経営責任者(CEO)、サンチット・ヴィル・ゴギア氏は「メモリ不足は部品レベルの懸念からマクロ経済リスクへと発展した」とし、AI関連製品の拡充は「物理的な要件を満たせないサプライチェーンと衝突している」と語る。

AIインフラに注ぎ込まれた数十億ドル規模の資金がバブルを膨らませたのではないかと投資家は疑問を呈している。一部のアナリストは、規模が最大で財務体質の最も強固な企業だけが価格上昇に耐えられ、淘汰が起こると予測している。

あるメモリチップメーカー幹部は、供給不足によって将来のデータセンタープロジェクトが遅れることになると明らかにした。新たな設備の建設には少なくとも2年かかるが、メモリチップメーカーは需要の急増が過ぎ去れば稼働停止になる恐れがあるため、過剰な建設には慎重だ。(翻訳・編集/柳川)

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