2025年12月7日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)の中国語版サイトは、中国による「パンダ外交」の地政学への影響について報じた。

記事は、フランス紙ル・モンドの論説記事と特派員記事を紹介。

まず、同紙が論説の中で、マクロン仏大統領がこのほど訪中した際に四川大学を訪れ、学生に向けて「分裂の誘惑に屈するな」と多国間主義を訴えたものの、現在の世界情勢において欧州の勢力が弱く、中国が強いことからマクロン大統領の声が中国に届く可能性は低いとの見解を示したことを伝えている。

同紙の論説は、4年目に入るウクライナ戦争において中国が引き続きロシアを支持し、中ロ同盟を対米戦略の鍵と見なしており、訪中時にマクロン大統領が示した提案を中国はほぼ無視したと指摘。「中国は、トランプ米大統領が同盟国に圧力をかけ多国間主義を破壊している状況下で、中国との貿易戦争を断念させたことに誇りに感じており、習近平(シー・ジンピン)氏の譲歩しない姿勢を強めている」と分析した。

また、フランス国内では中国の越境ECサイト「SHEIN(シーイン)」の問題や、中国産電気自動車(EV)をめぐる懸念などが渦巻いていることをよそに、中国はますます自信を強めており「産業が衰退している欧州には問題解決能力はないとみて、さらに生産拡大を続けている」と論じた。

同紙の特派員記事は、中国のパンダ外交について言及。歴史を振り返り、中国がパンダ外交を「緊張する西側との関係を和らげる常套手段」としており、マクロン大統領も今回の訪中で夫人とともにパンダセンターを訪問し、習氏がフランスとの新たなジャイアントパンダ保護協力の開始を発表したことを紹介している。

その上で、米中関係が緊張する中でパンダ外交が再び存在感を見せつつあり、米国で暮らすパンダが3頭にまで減った23年には訪米した習氏が新たなパンダの派遣を発表し、パンダ外交の破綻を回避したと指摘。中国はパンダ外交を通じて、相手に対して「中国との関係を、パンダと同じように大切に扱うべきだ」と忠告しているのだと論じた。(編集・翻訳/川尻)

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