2025年12月8日、台湾メディア・中国時報は、人口の危機にひんしている日本で「反移民」感情が根強いという「矛盾」について報じた。
記事は、高市早苗首相が就任以降強固な姿勢で支持を固め、安倍晋三前首相が掲げた「日本を取り戻す」というナラティブを継続するとともに、トランプ米大統領からも大いに認められたと紹介した上で、米外交専門誌ディプロマットが「深刻化する反移民の姿勢と両立し得るのか」と疑問を呈したことを伝えた。
そして、日本の人口は毎年約100万人近く減少し、労働人口は1995年の8700万人から2024年には7370万人へと減少したと指摘。40年には6000万人を割り込み、1100万人の労働力不足が生じると予測されているとした。また、日本経済の「失われた数十年」はバブル崩壊や政策調整に起因するものの、最大の構造的要因は人口減少による長期的な停滞だと論じた。
また、人口減少は、地方からの人口流出、空き家の急増、中小企業の後継者不足などを引き起こし、地域の衰退と文化の断絶を加速させ、国防基盤も縮小することで、安全保障上の不確実性も深まると指摘した。
その上で、40年代の日本の労働市場を安定させるには、年間約50万人の外国人労働者の受け入れが必要だという英調査会社オックスフォード・エコノミクスの予測を紹介している。
記事は一方で、日本では今年に入ってオーバーツーリズムなどを背景として反移民感情が急激に高まっており、政局でも極右政党である参政党が台頭したことなどによって右傾化しつつあると指摘。日本が大規模な移民に頼ることは不可能とはいえ、適度かつ安定した移民の流入は現実的かつ必要な選択肢であり、高市首相が今後もナショナリズム的な言説で保守層の支持固めを進めるならば、人口危機に対する解決策と自己矛盾を生むことになると結論づけた。(編集・翻訳/川尻)











