2025年12月10日、中国メディアの観察者網は、中国企業の進出によってベトナムの産業構造再編が進んでいるとする英メディアの報道を紹介した。

記事が紹介したのは英ロイター通信の10日付報道。

記事によるとロイターは、米国の関税政策を背景に、ベトナムが中国との貿易を活発化させており、1~11月の対中輸入額は前年同期比約30%増の約1680億ドル(約26兆円)に達し、昨年1年間の総額をすでに超えたとしたほか、輸入の約3分の1は米国へ再輸出される電子部品だと伝えた。

また、ベトナムではこれまで日本メーカーが優位にあったバイク分野で中国の電動バイクメーカーがシェアを奪っているほか、TikTokなど中国系のソーシャルプラットフォームが小売市場をけん引しているとも紹介。中国本土と香港の企業もベトナムへの投資を強化しており、これまでは盛んでなかった中国からベトナムへの技術移転も計画が進んでいるとした。

さらに、中国企業は今やベトナムを単なる「加工工場」とは見ておらず、有力な消費市場としても重視し始めていると伝えた。

ロイターはこのほか、機密インフラにおける中国技術の使用に消極的だったベトナムが、中国との関係改善に伴って華為技術(ファーウェイ)やZTEといった中国通信企業と5G機器の供給契約を締結したことにも言及。同様に「安全保障上の懸念」から態度を保留してきた鉄道の越境接続をはじめとするインフラプロジェクトも中国の支援の下で進み始めていると伝えた。

その上で、米国がベトナムに20%の関税賦課を主張し続ける中、ベトナム政府は中国との関係強化をリスクヘッジと成長戦略の両面から重要視しており、中国プロジェクトの規模と多様性がベトナムの産業構造を根底から変えつつあるという専門家の見解を紹介している。(編集・翻訳/川尻)

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