2025年12月10日、中国メディアの極目新聞は、中国で生産禁止が発表された水銀体温計が商店やECプラットフォームで品薄状態になり、価格が高騰していると報じた。

記事は、中国のSNS微博で9日に「水銀体温計と血圧計が来年から生産禁止になる」との情報が拡散し、トレンドワードランキングに登場するなど注目を集めたと紹介。

その後、各大手ECプラットフォームを検索したところ、複数のショップで水銀体温計で品切れが発生していることが分かったと伝えた。

そして、複数のショップ関係者が「一両日の間に水銀体温計を購入する人が明らかに増えて品切れが発生した。今後状況を見て再入荷を行うかどうかを判断する」と語ったこと、あるショップのデータでは水銀体温計の週間販売数が前週の十数倍に増えたことを紹介している。

さらに、品薄状態になっていることで価格も大きく上昇しており、ある市民が「前に買った時は4元(約90円)だったのに、今は33元(約660円)にまで値上がりしていた」と語ったほか、ネット上では多くのユーザーが高額転売を狙ってとみられる買い占めに走っており、中には100本も買いだめしたことを明かす人もいたと伝えた。

記事は、国家薬品監督管理局が先日、来年1月1日より水銀を含む体温計や血圧計の製造を全面的に禁止する通知を出したことを紹介。これまで正確な測定と価格の安さで家庭医療の必需品とされてきた水銀体温計が姿を消す理由について、中国医療機器業界協会の専門家が「水銀が強い毒性と、自然分解されない特性を持つこと」と説明したことを伝えた。

その上で、水銀体温計が割れて中の水銀が出た場合、1グラム足らずでも15平方メートルの部屋における空気中の水銀濃度が100倍近くに上昇し、安全なレベルに戻るまでには1か月近く換気する必要があると紹介している。(編集・翻訳/川尻)

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