2025年12月10日、中国のポータルサイト・捜狐に、なぜ90年代の日本アニメのヒロインは暴力的だったのかを考察した記事が掲載された。

記事は、「最近、日本のネットユーザーが『なぜ昔の日本アニメのヒロインはみんなやたらと暴力的だったのか?」と問いかけ、話題になった。

例えば、初期の『名探偵コナン』では、毛利蘭(もうりらん)が素手でステンレスの机をたたき割るシーンがあったが、今ではこうした描写はほとんど見られない。コメント欄には『本当だ、昔は気づかなかった』『90年代のヒロインはすぐ主人公を殴っていた』といった声が並んだ」と述べた。

その上で、「90年代の日本の少年漫画のヒロインには共通点があった。主人公がスケベなことをすると、ヒロインが即座に拳を飛ばすというものだ。例として『シティーハンター』の槇村香(まきむらかおり)、『らんま1/2』の天道(てんどう)あかね、『名探偵コナン』の蘭、『鋼の錬金術師』のウィンリィ、『ラブひな』のヒロインたちが挙げられる。一見おとなしい穏やかなキャラクターでも、突然暴力的になることすらあった」とした。

そして、「なぜかというと、当時こうした暴力描写はロマンであり、コメディーであり、キャラクターの魅力の一部でもあったからだ。また、ハーレム漫画やラブコメでは『ギャップと誇張』が重視される傾向にあった。主人公が順調にモテすぎると作品として面白味がなくなるため、ヒロインによる『現実の一発』を入れる必要があったのだ」と説明した。

また、「この『互いに傷つけ合う関係』を観客も甘酸っぱいものとして受け取っていた。しかし今では、このような『男女のかけ合い』を主体としたコメディーは廃れつつある。一つには、スケベ男というキャラ付け自体が今では成立しにくいこと。

もう一つには、暴力が『萌えポイント』として受け入れられなくなったことがある」と論じた。

記事は、「現代のアニメ作品における主流は、ヒロインが自然と主人公に好意を寄せ、肯定・称賛し、 主人公の人気を高める構造に移行している。すなわち、主人公を痛めつけるキャラクターよりも、主人公を肯定し心地よさを与えるキャラクターが支持を集めているのだ。加えて、世間が暴力表現に対して敏感になったことで、『暴力系ヒロイン』というサブカルチャー的キャラクター像は、徐々にその姿を消したのだ」と言及した。

その上で、「90年代の『暴力系ヒロイン』を振り返ると、それは『女性が男性を殴る』という単純な構図ではなく、むしろ当時の恋愛コメディーにおける一つの表現手法であったことが分かる。正直、筆者はあの手の、『暴力系ヒロイン』を好んでいたが、現代の観客には受け入れづらい設定になってしまった。しかし時代の変化に伴い、現代アニメでは温和で内面に深みを持つキャラクター、強さを備えたキャラクター、複雑で人間味のあるキャラクター、そして主体性のある独立したキャラクターなど、より多様な女性像が描かれるようになった。こうした変化は、表現の幅が広がったという点で、確かな進歩と評価できるだろう」と結んだ。(翻訳・編集/岩田)

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