韓国社会には経済成長に伴い、「日本を追い越した」という自画自賛の愛国ムードがまん延するようになったとして、朝鮮日報は東京特派員発のコラムで警鐘を鳴らした。この中では「日本に学ぶべき点があるならば、適当にまねるのではなく徹底的に学ぶべきで愛国過剰を警戒せよ」と訴えた。

コラムがまず取り上げたのは、高市早苗首相が愛用している「早苗バッグ」。145年前に創業した長野県御代田町の浜野皮革工芸で職人が手作りしているが、あまりに人気が出たため注文してから10カ月待たねばならない。東京に住む特派員の年収1000万円台の知人は東京に納めるはずの税金(45万5000円)を「ふるさと納税」として御代田町に払い、返礼品の「早苗バッグ」を手に入れた。

ふるさと納税に関しては「は年間1000万人以上の日本人が1兆2000億円以上の税金を地方に還流させている地方創生の成功例だ」と説明。「地方の没落が深刻な韓国でも、この仕組みをベンチマーキングした『故郷愛寄付制』があるが、その規模は年間2000億ウォン(約210億円)程度にとどまっている。一時期『日本の成功例は10年後の韓国の成功例になる』という言葉が定説のようになっていた。しかし、ふるさと納税(2008年開始)と故郷愛寄付制(23年開始)は例外のようだ」と述べた。

コラムは「何がこの差を生んだのか」として、韓国の代表的な企業グループに成長したサムスンにも触れた。「約20年前、日本の三洋電機のエンジニアにサムスン電子の工場は三洋の工場についてトイレの位置まで研究し、従業員の動線を最適化した。私たちはそのとき笑っていたが、サムスンは偉大な企業になった。日本に追い付いたのは偶然ではなかったと言われたことがある」と紹介。「私たちはそのくらい必死で日本の成功モデルを学習したのだ」と強調した。

さらに「日本はノーベル賞の受賞者を毎年のように輩出し、建築のプリツカー賞では世界最多の受賞者数を誇る。日本のGDP(国内総生産、)は韓国の2.7倍で、対外純資産は3.5倍も多い」と言及。「東京の街の路上にはごみがほとんど見当たらないし、地下鉄での通話を控える市民意識にも定評がある」と称賛した。

コラムは最後に「仮に日本が韓国よりも劣っているとしても、それは重要なことだろうか。学ぶべき点があるならばそれを探り出し、適当にまねるのではなく徹底的に学んで身に着けるべきではないだろうか」と指摘。「かつてのサムスンのように、トイレの動線まで綿密に研究して改善しようとした学びの姿勢は、どこへ行ってしまったのか」と嘆いた。(編集/日向)

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