シンガポールメディアの聯合早報は12日、米フォード・モーターのサプライヤーが中国当局のレアアース輸出許可を取得したと報じた。

記事によると、フォードは10日、中国当局が初めて発給したレアアースの一般輸出許可証の対象企業に、同社のサプライヤーである中国のレアアース磁石メーカーが含まれていると明らかにした。

記事は、ロイターの報道を引用する形で「中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と米国のトランプ大統領が10月に韓国で会談した後の貿易合意には、中国が上述の輸出許可証を発給し、個別の顧客が1年間に比較的低いハードルでより多くのレアアース供給を受けられるようにすることが盛り込まれていた」と説明。中国が今年打ち出した輸出規制で一部の自動車サプライチェーンに影響が出たことに言及し、「中国にとっては対米貿易交渉における大きな交渉材料になっていた」とも指摘した。

一方、中国は新たな許可証の発給条件や発給対象企業を含め状況をほとんど公表しておらず、米国以外の外交官やメーカーの間では米国の顧客向けかとの懸念が生まれているという。

記事は、「ドイツのワーデフール外相は今回の中国訪問の中でこうした懸念を表明した」とし、独自動車大手のBMWが「サプライヤーと共に一般輸出許可証の問題を注視している」と述べたことを伝えた。同じく大手のフォルクスワーゲンは「レアアース供給は安定しており、不足は起きていない」とした上で、「われわれのサプライヤーは必要な輸出許可証を取得するため、彼らの下請け業者と話し合いを続けている」と述べたという。(翻訳・編集/野谷)

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