2025年12月14日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、欧州が2035年に内燃機関車の新車販売を事実上禁止する規定を緩和する方針を示したことを報じた。
記事は、欧州委員会が16日、現行では35年に2021年比で二酸化炭素の排出量を100%削減(ゼロエミッション)することを目指すという規定を、削減目標90%に設定し直すことを提案したと紹介。
また、内燃機関車を継続販売するための条件として、メーカーは低炭素プロセスで生産された欧州製スチールの使用に加え、再生可能電力と回収された二酸化炭素から作られる「e-fuel(合成燃料)」やバイオ燃料を使用し、排出される二酸化炭素を相殺することが義務付けられるとし、欧州当局が、目標変更後も50年までのカーボンニュートラル達成という全体目標には影響しないと説明していることを紹介した。
その上で、目標の下方修正の背景について、欧州で電気自動車(EV)の充電インフラ整備が遅れているほか、ドイツなどで補助金が打ち切られてEV価格が高騰し、EV需要が減退していることがあると指摘。域内の自動車産業も、市場が新型コロナのパンデミック以前の水準にまで回復していない上、中国製の安価なEVの攻勢といった大きな圧力を受けているとし、このような背景から、自国の自動車産業と雇用への影響を懸念するドイツやイタリア、そして主要自動車メーカーが目標の見直しを要請しており、今回その意向が反映され形になったと解説した。
一方で、環境団体からはこの緩和がメーカーや消費者に混乱したシグナルを発し、中国メーカーを追撃するために必要なEV化に向けた投資を分散させることになるとの批判も出ていると伝えた。
記事は、世界の自動車産業について、中国ではEVが引き続きシェアを伸ばす一方で、米国ではトランプ大統領によって燃費基準の大幅引き下げや、内燃機関車の販売期間延長検討など、欧州同様に内燃機関車を存続させる動きが見られることを紹介している。(編集・翻訳/川尻)











