ストリートフード街で全ての店が同じ決済QRコードを掲げて営業するというのは、誰かがプリントし間違えたわけでも、誰かの勘違いでもなく、福建省福州市の福建師範大学旗山キャンパス付近にあるストリートフード街で実際に見られた光景だ。
そのストリートフード街の多くの店は最近、同じ決済QRコードを掲げたほか、「今日の売り上げは煎餅(中国風クレープ)を売っているおじさんが難局を乗り越えることができるよう、全て寄付します」という張り紙を貼って営業した。
「煎餅を売っているおじさん」というのは、このストリートフード街で煎餅を販売する張建武(ジャン・ジエンウー)さんのことで、最近がんと診断された。そして、毎日同じ場所で共に商売をする仲間たちはそれを知ると、少しでも力になりたいと、張さんがお金を受け取ることができるQRコードを掲げて営業するようになった。
さらに、ソーシャルメディアでそれを知った多くの人もストリートフード街にやって来て食品を購入して支援の輪に加わった。訪れているのは大学生や福州市の市民、さらに他の地域からやって来た観光客も含まれており、多くの店の前に一時長蛇の列ができた。そして、「今日は単に食事をしに来たわけではない」というのが、寒い冬の日に、多くの人の心を温める「合言葉」となった。
多くの店のオーナーによると、真面目に働く人で、周りの人とも仲が良いというのが張さんの印象だという。
こうした反響と共に、福州市や閩侯県の民政当局も「今後、張さんが福州市に戻って治療する場合、実際の状況に合わせて必要な生活支援を提供し、医療資源の調整に全力で支援し、スムーズに治療を受けることができるようサポートする」と発表した。
「がんと戦って、元気になったら煎餅を振る舞いたい!」
病状が深刻で、高額の治療費が必要なため、張さんは一度はあきらめかけていたものの、多くの人が募金や回復を願うメッセージを寄せてくれたことを知って、妻の龔さんの付き添いの下、15日に福建省武夷山市から福州市に戻り、治療を続けることにしたという。ある病院は、治療をスムーズに受けることができるよう全治療プロセスのサポートを申し出ているという。
体調が優れず、長時間話すこともままならないため、張さんは妻を通して、「多くの人が関心を示してくれていることに感謝している。どうやってお返ししたらよいか分からない。元気になったら店に戻り、煎餅をたくさんの人に振る舞いたい」とメッセージを寄せた。











