「演算能力の時代」に入り、ネットワークにはこれまで以上に幅広い機能が与えられつつある。国家デジタル交換システム工学技術研究センター(河南省鄭州市)は中国移動、中国聯通などの機関と連携して研究開発チームを結成し、「マルチモーダルイン・ネットワーク・コンピューティング」という新たな方式を創出し、演算通信リソースのスケジューリング効率と信頼性の両面で大きなブレークスルーを実現したことが、同センターへの取材で分かった。

新華社が伝えた。

同チームによると、この方式の中核的理念は、演算通信一体化オーケストレーションシステムを活用し、複雑な計算タスクを需要に応じて細分化し、ネットワークの各ノードに分散配置することだ。データはネットワークのエッジでのみ処理されるのではなく、伝送の途中でも一部の計算が同時に実行される。これにより、ネットワークは単なるデータ伝送チャネルから、「計算能力を持つ」「より賢い」インテリジェントシステムへと進化する。

中国情報通信研究院の試験では、共同研究チームが開発した演算通信一体化オーケストレーションシステムが高い性能を示した。従来は計算タスクスケジューリングに数秒を要していたが、現在は5ミリ秒で応答し、正確率は99%を超えるという。

産業用品質検査を例にすると、従来は検査用カメラが高解像度画像をすべてクラウドに送信して欠陥を識別しており、ネットワーク帯域を大量に消費する上、応答が遅く、映像のカクつきが生じやすかった。演算通信一体化オーケストレーションシステムを導入すると、カメラがまず画像を前処理して重要な特徴を抽出し、ネットワーク伝送の途中で各ノードが局所的な特徴解析を同時に実施。クラウド側は最終判断のみを担う。タスクスケジューリングの応答が速いほど、品質検査はより効率的で円滑になる。

中国情報通信研究院の教授級シニアエンジニア・趙鋒(ジャオ・フォン)氏は、「これまではデータ伝送と計算タスクがそれぞれ別々に動いており、データはネットワークを流れるだけで、計算はデータが届くのを待つしかなかった。演算通信一体化オーケストレーションシステムは、両者に『協調スケジューリングの頭脳』を与え、データの流れに『インテリジェントナビゲーション』をもたらすものだ」と語る。

中国工程院院士の鄔江興(ウー・ジアンシン)氏は、「演算通信一体化オーケストレーションシステムは、産業を『ネットワークによる情報交換』から『演算能力による情報データ処理』へと強力に転換させるだけでなく、将来的により多様なデジタル応用シーンを切り開く基盤となり、AI技術が実体経済の発展や人々の日常生活に一層貢献することにつながる」との見方を示した。(提供/人民網日本語版・編集/YF)

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