中国第42次南極観測任務を遂行中の「雪竜」号と「雪竜2」号がこのほど、中山基地で物資の陸揚げと人員の上陸作業を無事に完了した。陸揚げの協同作業中、「雪竜2」号は「雪竜」号の砕氷航行を支援した。

新華社が伝えた。

複雑な海氷状況下で、雪竜兄弟船が海洋を探査し海氷を把握する過程において、海洋監視・観測衛星の役割は極めて重要だった。観測隊と国家衛星海洋応用センターによると、中国は海色・海洋動力・海洋監視・観測の3大衛星シリーズで構成される協調観測システムを構築。11基の軌道衛星が全天候・24時間・全カバーの「海洋感知ネットワーク」を構築し、宇宙と海を見渡す観測を支援している。

海洋監視・観測衛星:名実ともに「海上の千里眼」

南極観測において、雪竜2号が乱氷域の状況を判断し、最適な砕氷ルートを決定できるのはなぜか?

海洋監視・観測衛星地上システムサブチーフエンジニアの安文韬氏は取材に、分解能5メートル・観測幅50キロメートルの高解像度氷域衛星リモートセンシング氷情情報テーマ図を指さしながら、誇らしげに「たとえ厚い雲に覆われ、濃霧が立ち込め、あるいは手も見えない暗闇であっても、海洋監視・観測衛星は干渉を透過し、暗闇を貫いて海面の細部を捉えることができる」と話した。

現在、海洋監視衛星は3基が軌道上にあり、全天候・24時間・高分解能のマイクロ波観測能力を駆使し、厚い氷障の中でも航路を示すだけでなく、中国海域に不法侵入して違法操業を行う外国船を常時監視できる、名実ともに「海上の千里眼」としての役割を果たしている。

海洋水色衛星:細部まで観測する「健康監視員」

海洋水色衛星地上システムサブチーフエネジニアの葉小敏氏は、「海水が緑色を呈するのは通常、プランクトンが繁栄していることを示し、黄色がかった場合は泥砂や浮遊物などが原因であることが多い」と海洋水色衛星の得意分野を説明した。

最も早く開発された海洋衛星シリーズとして、海洋水色衛星は海洋の微細な変化まで捉える「健康監視員」と言える。

黄海のアオサ大量発生と渤海の海氷災害に対しては、常態化観測システムを構築し、アオサ大量発生の動態と海氷融解の全過程を追跡。クロロフィル濃度や海温などのリモートセンシングデータを取得することで、海洋漁況予報を支援し、「黄金漁場」の特定に貢献している……。近年、海洋水色衛星はその卓越した観測能力により、海洋災害監視と資源調査に確かな技術的支援を提供している。

葉氏は、「現在、海洋水色衛星シリーズは海洋1号C、海洋1号D、海洋1号Eの3衛星による軌道上ネットワーク観測システムを形成し、グローバル的に1キロメートル分解能で1日3回、中国近海では中分解能で1日1回の全海域観測能力を備えている。今後さらに海洋1号Fと高軌道海洋・沿岸環境監視衛星を打ち上げ、海洋生態系と沿岸域の観測能力をさらに向上させる予定だ」と語った。

海洋動力衛星:全天候型の「体力測定士」

海洋動力衛星は現在5基が軌道上に存在する。

このシリーズは海洋の運動能力に焦点を当て、海面高度・海上風場・海面水温・波高などの海洋動力環境パラメータを同時に測定可能で、まさに全天候型の「体力測定士」と言える。

今年9月には、中国初の海洋塩分観測衛星が軌道上試験を完了し運用を開始し、衛星による海洋塩分観測の空白を埋めた。

海洋動力衛星地上システムサブチーフエンジニアの賈永君氏は、「2026年には海洋動力シリーズ衛星として海洋2号Eと海洋2号Fを打ち上げ、グローバル海洋動力環境観測ネットワークの更新を実現し、グローバル海洋動力環境パラメータ観測能力の軌道上における安定継続を維持していく」と述べた。

国家衛星海洋応用センターの斉平センター長は、「現在中国の海洋衛星は3大シリーズの協調観測を実現し、『追従』から『並走』への重要な転換期にあり、取得したデータは10数業界で広く応用されている」と述べた。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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