千年の伝統を誇る中国の宣紙(画仙紙)「ファミリー」に、新たな仲間が加わった。「絵画新素材――2025中国画名家招待展」書画展が20日、湖北省武漢市で開幕した。

出展された70点の現代書画家による中国画作品はいずれも、宣紙を改良した新素材「玄繊紙」に描かれており、この改良の着想は月探査機「嫦娥6号」が月面で掲揚した国旗から得られたものだという。長江日報報業集団傘下の大武漢アプリが伝えた。

展覧会場では、山や川、花鳥魚虫が光と影の変化に合わせて表情を変え、70点の作品はいずれも水面のようなきらめきを放っていた。その秘密は、画用紙に用いられた画期的な素材である玄武岩繊維にある。

月面の国旗から着想、玄武岩繊維で改良された「宣紙」が登場―中国

白紙の玄繊紙を手に取ると、従来の宣紙よりも厚みがあり、軽く揺らすだけで紙面がきらりと光った。研究開発チームのメンバーで、武漢紡織大学帛画研究院の王鉄漢(ワン・ティエハン)副院長は、「宣紙は千年の寿命を持つ紙と言われるものの、高温多湿の環境ではカビや虫害、黄変、脆化が起こりやすい。また、繊維が柔らかいため、外力が加わると変形やしわ、さらには破損も起こりやすい」と説明した。

王氏は、「宣紙の技術改良は常に書画界の重要な課題だった。武漢紡織大学の徐衛林(シュー・ウェイリン)院士率いる研究チームが24年に開発した玄武岩繊維製の五星紅旗(中国の国旗)は月の裏側で展開された。この国旗は薄くて柔らかい一方、強度と靭性を備え、防湿性や難燃性が高く、しわになりにくい。こうした特性が研究チームに着想を与えた。紙、布、石という一見無関係な三つの素材が玄繊紙の上で融合し合い、共生している」と語る。

このため、武漢紡織大学など複数の機関が連携し、共同で技術開発に取り組んだ。宣紙の主要原料である青檀皮と沙田稲わら紙パルプに新素材の玄武岩繊維を融合させ、伝統的な手漉き製紙技法と現代繊維産業の不織布技術を組み合わせた。度重なる実験と調整を経て、この新しい紙が完成した。

最初の玄繊紙の試作品が3月に完成した。研究チームが複数の国際基準と照らし合わせて試験を行った結果、この紙は宣紙特有の軽やかな質感と墨のにじみやすさを保ちながら、傷みやすく燃えやすいという従来の弱点を克服していることが確認された。

第14次五カ年計画(21~25年)プロジェクトであり、国家重点出版物でもある「中国宣紙伝統製法技術研究」の首席専門家として、安徽財経大学の曹天生(ツァオ・ティエンション)教授は、「宣紙の製作技術は千年以上にわたる伝承の中で成熟してきた。その上で、伝統的な宣紙と先端科学技術素材の融合は宣紙技術の持続的発展に向けた有益な探究であり、この千年にわたり受け継がれてきた人類の無形文化遺産に新たな活力をもたらした」と評価した。(提供/人民網日本語版・編集/YF)

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