2025年12月22日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、ドイツの鉄道会社が中国製電動バスを採用したことについて、ドイツ政府閣僚から批判の声が出ていると報じた。
記事は、ドイツ鉄道が今月上旬、27~32年に納入されるバス3300台余りを総額10億ユーロ(約1800億円)超で発注し、大部分はミュンヘンに拠点を置くMANが受注した一方で、電気バス約200台については中国の電気自動車大手BYDが受注したと紹介した。
そして、これに対してクリンバイル財務相兼副首相が20日にドイツメディアの取材を受けた際に「ドイツ鉄道が中国からさらに多くの電気バスを調達することを決定したことに、強いいら立ちを感じている」と述べ、公共調達においてドイツや欧州製品を優先することで「健全な愛国心を示すべきだ」と苦言を呈したことを伝えた。
記事は、ドイツ鉄道がBYDの電動バスを選んだ理由について、地元メディアが「最も低価格な提示を受けた」と報じていることを紹介する一方で、ドイツ国内で懸念が広がっている背景として、ノルウェーの公共交通事業者が中国・宇通客車製のバスを調査した際、理論上は「ワンクリックで運行を停止させられる」リスクが判明した事例があることを指摘している。
専門家はこのリスクについて「中国ブランド固有の問題ではなくデジタル化された車両全般の課題」と指摘しているものの、記事によるとこの件が欧州内で中国の技術に対する不信感や、公共交通システムの安全性確保をめぐる議論が再燃するきっかけになったという。
記事は、苦言に対してドイツ鉄道側の反応も紹介。発注全体の約95%は国内企業のMANが占めており、BYDは全体の約5%に過ぎないと強調するとともに、今回の調達は欧州全域を対象とした競争入札の結果であることを説明し、理解を求めていると伝えた。また、供給されるBYD製バスは同社のハンガリー工場で生産される見通しであることを報じている。(編集・翻訳/川尻)











