中国メディアの九派新聞が20日、中国のユニクロの一部店舗で、店員が客を盗撮していたことが明らかになったと報じ、物議を醸している。
記事は、「ユニクロで万引き犯扱いされた」と不快感を示す消費者の投稿がSNSで議論になっていると報道。
記事によると、広州市の消費者・陳(チェン)さんは市内の複数の店舗で「顔を覚えられている」と感じたといい、「警備員も自分を非常に警戒している様子で常に近くを行き来していた」と語った。また、別の消費者の鞠(ジュー)さんは「以前、別の店舗で購入した際に防犯タグが外されていなかったスカーフがあり、それを深センの店舗に持ち込んで外してもらったところ、それ以降、店舗に入るたびに警備員が付いてくるようになった」と話した。
元従業員によると、「万引き犯の疑いがある客の写真」とのファイルが内部で共有されており、写真は防犯カメラの映像から切り出したものもあれば、スマートフォンで隠し撮りしたとみられる写真もあった。また、微信(ウィーチャット)の社内グループのチャット記録では、管理職とみられる人物が「売り場の客を徹底的に注視し、11号が手を出せない環境を作ろう」と呼び掛けたり、「1日を通して怪しい人物は見つからなかったのか」と問い掛けたりする様子が見られた。「11号」は怪しい人物を指す呼称で、写真は数百人規模のグループで共有されていたという。
記事はこの背景として、「本部が設定する『ロス率』という指標が管理職の評価に影響を与えており、各店舗の『報告』回数が集計される仕組みになっている」と指摘し、「これにより一部の店長が怪しい人物を盗撮するよう指示を出したり、防犯対策として1日に何枚写真を撮るかということまでが指標にされたりしていた」と伝えている。
記事によると、取材に応じたある人物は「以前、社内の従業員ホットラインで(従業員による客に対する)盗撮の問題を報告したが、その後何の対応もなかった」と話した。一方、複数の元従業員から得た証言では、盗撮を行うかはその店舗の万引き被害の程度によって決まるということで、「被害がそれほど深刻でなければ、通常はこのような対応はあまり取られない」という。
この問題について、中国メディア・新京報は22日付の論評記事で「ユニクロは世界的な模範とされる小売企業でありながら、防犯を『盗撮』に頼るというその手法はあまりにも稚拙で、その名声や地位にふさわしいものとは言い難い。防犯技術が高度に発達している現在において、依然として人力に依存した防盗に頼っている点も現代的とは言えず、ユニクロの管理能力そのものに疑問を抱かせる」と指摘。「怪しいというだけで盗撮してグループ内で共有、マーキングする行為は合法かつ合理的な防犯の範囲を大きく逸脱しており、消費者の肖像権、プライバシー権、さらには名誉権を侵害する疑いがある」と断じた。
また、同じく中国メディアの南方都市報は「防犯対策に頭を悩ませているのはユニクロに代表されるファストファッションブランドだけでなく、世界の小売業界全体も同じだ」としつつ、「特にファストファッションブランドの店舗では、商品回転が速く、陳列がオープンで、店員と顧客の接触が少ないといった特徴があるが、これは防犯上の難点でもある」と指摘。「合理的な防犯対策自体は非難されるものではない」としつつも、今回のユニクロの疑惑については「その範囲を超える」とし、「肖像権侵害などの法的リスクを伴うだけでなく、消費者の反感を招く直接的な原因となり、ブランドへの長期的な影響は商品の盗難による損失に決して劣らない」と指摘している。(翻訳・編集/北田)











