台湾メディアの自由時報は23日、「中国を破る!」と題し、独シーメンス・モビリティ(Siemens Mobility)がベトナムの高速鉄道建設に関する協定に署名したと報じた。

記事は、「シーメンス・モビリティが東南アジアのインフラ建設分野で長きわたり事業を展開してきた中国の競合企業を打ち破り、ベトナム最大の民間企業グループであるビングループ(Vingroup)と戦略的協力協定を締結した。

同社はハノイとハロン湾を結ぶベトナム初の高速鉄道の建設を支援する。独メディアは本件について、シーメンス・モビリティが東南アジア市場に本格参入する足掛かりであるだけでなく、地政学的影響力を転換し得る戦略的意義を持つと評している」と報じた。

シーメンス・モビリティによると、同社はビングループ傘下の高速鉄道投資開発会社(ビンスピード)と「包括的戦略的パートナーシップ」と技術移転に関する協定を締結した。17日には、シーメンス・モビリティのグローバルCEOであるミヒャエル・ペーター(Michael Peter)氏が自ら署名式に出席し、ドイツ駐ベトナム大使のヘルガ・マルガレーテ・バルト(Helga Margarete Barth)氏の立ち会いの下で調印が行われた。記事はこれについて「ドイツ側がこの象徴的な建設案件を極めて重視していることを示している」と伝えた。

記事によると、シーメンス・モビリティは新世代の超高速列車「Velaro Novo」を提供する。最高時速は350キロ以上に達し、エネルギー消費は前世代モデル比で約30%削減できるという。また、シーメンス・モビリティは主要サブシステムの統合も担当する。記事は、「ベトナムはハノイとホーチミンを結ぶ全長約1550キロの南北高速鉄道ネットワークの建設を計画しており、総投資額は最大700億米ドル(約11兆円)に達すると見込まれている。今回のシーメンス・モビリティの受注は、将来的に巨大な鉄道市場を獲得するチャンスを得たものとみなされている」と報じた。

また、独メディア「テーブル・ブリーフィングス」が、「シーメンスが今回ベトナム市場において、中国、日本などの強力な競合を打ち破り、首都ハノイとクアンニン省ハロン湾を結ぶ全長121キロの高速鉄道契約を獲得したことは、極めて大きな意義を持つ」と指摘し、その理由として、ベトナムが今後数年間で地下鉄システムの建設に数百億ドルを投資する計画であるほか、特に全国を網羅する高速鉄道ネットワークの整備を進めている点を挙げたことを伝えた。

記事はこのほか、「今回のニュースについて現地ベトナムでも注目度が高まっており、多くのネットユーザーが中国に依存するのではなく、ドイツの技術を導入するという政府の方針を支持する姿勢を示した」とし、その例として「ドイツの技術は高価だがそれに見合う価値がある。

中国に依存する技術は絶対に使うべきでない」といったコメントを紹介したほか、現地では「中国企業を起用しなかったのは正しい判断であり、民間は中国がいかなる重要な国家建設にも関与することを望んでいない」といった趣旨の論評も出ていると伝えた。(翻訳・編集/北田)

編集部おすすめ