2025年12月24日、中国メディアの観察者網は米国の新世代高速鉄道「アセラ・エクスプレス」の新型車両導入について「寂しい状況だ」と伝え、米国の鉄道インフラ整備が遅々として進まない現状を報じた。
記事は、米上院商務委員会が22日、全米鉄道旅客公社(アムトラック)が8月に導入した「アセラ」に関する監査報告書を公表し、23億ドル(約3600億円)を投じた新型列車が当初の21年導入予定から4年以上遅延した上、実測速度が旧型車両を下回る事態が浮き彫りになったと紹介。
その上で、アムトラック側が導入遅延の理由について連邦政府の新たな安全基準への適合や再設計、厳格なテストによるものだと主張するとともに、旧型車両の耐用年数超過と新型の納入遅延により、2億8700万ドル(約450億円)の増収機会を失い、予定外のメンテナンスコストも発生したと訴えていることを紹介した。また、同社が走行時間の短縮には列車の性能向上だけでなく、線路や架線といった地上インフラの近代化が不可欠だと説明し、本格的なスピードアップに向けた作業が始められるのは来年末以降になるとの見通しを示したことも伝えた。
記事は、米議会は21年に大規模なインフラ投資法案を可決して鉄道分野に660億ドル(約10兆円)を割り当てたものの、インフラの老朽化という課題は解決に至っておらず、東北回廊をはじめとする主要路線の鉄道インフラ整備が厳しい状況にあると指摘。その象徴がカリフォルニア州の高速鉄道計画で、費用の増加と工期の延長が止まらない状況であることを伝えた。
その上で、こうした巨額プロジェクトが停滞する大きな背景として、民主党と共和党の政争や連邦政府と州の対立という政治的要因があり、インフラ建設が駆け引きのカードに用いられていることを指摘した。(編集・翻訳/川尻)











