太原市陽曲県大盂村には、明代から500年近く村を守り続けている「鉄のネコ」が飾られている。昔、ネズミが大量発生してしまい、大層困った村民らは何とか村を守ってもらいたいという思いから「鉄のネコ」を作ったところ、ネズミが本当にいなくなったという言い伝えがある。

そんな「鉄のネコ」は今も村に鎮座してしっかり村を守っている。それだけでなく、古代の製錬、鋳造技術のレベルの高さを見ることのできる文化財として保護されているため、多くのネコ好きが一目見ようと同村にやって来るようになった。

平和や繁栄、魔除けを象徴する「祥禽」や「瑞獣」の像や図案は中国の伝統文化において重要な位置を占め、それは古代の人々の自然崇拜に端を発している。

中国の歴史ある建物を飾る動物が担う重い責任とは?―中国メディア
山西省太原市の庭園・晋祠の竜と象の木の彫刻
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晋祠の建物に描かれた魚
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山西省高平市の開化寺の屋根の棟にデザインされた「祥禽」

竜は神話において、風を起こし、雨を降らすとされており、トラは「百獣の王」と呼ばれ、ライオンはシルクロードを通じて中国に伝わり、「瑞獣」と見なされた。これらの猛獣は壁画や石像、木の彫刻において、勇気、力、富、魔除けを象徴している。

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晋祠の木の彫刻の竜。独特なポーズから「ピースサイン竜」と呼ばれている
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晋祠の軒の下の木の彫刻
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山西省晋城市の青蓮寺の獅子の彩色塑像

中華文化の発展において、縁起の良いものを描き出す「吉祥文化」は常に重要な位置を占めてきた。牛や馬、羊などは縁起の良い動物とされ、昔から人間の労働を支えてきたそれらの動物は伝統文化において、勤勉さや開拓精進、縁の下の力持ちの象徴となってきた。昔の人々は自分を支えてくれている動物を芸術に取り込むことで、生活における希望や愛を表現してきたのだ。

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山西省祁県の喬家大院にある牛をデザインした石の彫刻
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喬家大院の馬をデザインした木の彫刻
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太原市の双塔寺にある羊の石像

歴史ある建物を生き生きと飾る動物は、職人がごくありふれた材料を巧みに用い、丹念に作り上げた輝かしい作品であり、その技術は発展しながら代々受け継がれ、「祥禽」や「瑞獣」に込められる思いもより多様になると同時に、統一されるようになっている。その奥深い文化は、人の心にしっかりと刻まれ、中華伝統文化の魂となっている。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

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無形文化遺産の製作を行う山西省無形文化遺産伝承人

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