2026年が明けた。サッカーファン歴ほぼ60年の私にとっては、6~7月に開催される男子サッカーの北中米ワールドカップ(W杯)が今年の最大の楽しみだ。

「優勝」を目標に掲げている森保一監督率いる日本代表チームはどこまで勝ち進むのか。ウズベキスタン、ヨルダンなど初出場組を含む他のアジア勢は活躍できるのか。ずばり、優勝はどこになりそうか。大胆に予想してみた。

グループで2番目の実力国

個人的な話で恐縮だが、2010年の南アフリカ大会の半年前、当時勤務していた報道機関のニュースサイトに掲載したコラムの中で、「日本の決勝トーナメント進出確率は40%」との予想を披露したことがある。この当時、岡田武史監督率いる日本代表は調子を落としており、あちこちで「40%なんて高すぎる」と半ば嘲笑された。しかし日本代表は本番のグループリーグで、オランダには敗れたもののカメルーンとデンマークに勝ち、見事決勝トーナメントに進出。ほっと胸をなでおろした記憶がある。

40%というのは、日本代表が本来の調子を取り戻すと仮定したうえで、他チームとの力関係を勘案してはじき出した数字だった。では、16年前に続いてオランダ(FIFA=国際サッカー連盟=ランク7位)、2002年の日韓W杯でも戦ったチュニジア(同41位)、そして欧州プレーオフBの勝者(3月に決定)と同グループとなった今年の北中米W杯ではどうなるか。日本代表の決勝トーナメント進出の確率は70%と予想する。理由は次の通りだ。

まず、日本代表の現在のFIFAランクは18位。

欧州プレーオフBはスウェーデン、ウクライナ、ポーランド、アルバニアの争いだが、どこが出てきても日本より低い。つまり、FIFAランキングで見る限り、日本はグループで2番目の実力国だ。「FIFAランクなんて当てにならない」との声もあるだろうが、日本は前回カタール大会で優勝経験国のドイツ、スペインを破った後も、23年にはドイツにアウェーで4-1と完勝し、昨年10月にはブラジルに初めて勝利するなど、このランクに相応しい実績がある。さらに、現在の日本代表のレギュラーはほとんどが欧州の5大リーグ(イングランド、スペイン、ドイツ、イタリア、フランスの1部リーグ)のチームか、それと同等のレベルのチーム(オランダリーグの上位チームなど)に所属している。日本の強みは組織力と言われていたが、選手個々の能力でも、欧州の中堅国並みないしそれ以上のレベルにあるといえる。

これらを総合すると、前回までのように各グループ上位2カ国が決勝トーナメントに進出するとしたら突破確率は60%。今大会は、出場国が増えた関係でグループ3位でも突破の可能性があるので、10%上乗せして70%とした次第だ。ただ、グループリーグを突破しても、決勝トーナメント1回戦でサッカー王国ブラジルか前回4位のモロッコとあたる可能性が高い。ここが上位進出への正念場になりそうだ。

日本代表にとって、これから最も重要なのは負傷者の回復だろう。アジア最高級のDFと言われながら長期離脱中だった冨安健洋は1月にオランダの名門アヤックスで復帰する見込みだが、ほかにも負傷者が何人もいる。彼らが6月までに回復し(左ひざ前十字靭帯断裂のMF南野拓実は難しそうだが…)、そして新たなけが人が出ずにほぼフルメンバーがそろうことを祈るのみだ。

<サッカー>ワールドカップ、アジア勢は活躍できるか=日本の決勝T進出確率は70%

イラン、初の決勝T進出のチャンス

ほかのアジア勢はどうか。常連組では、韓国、オーストラリア(オセアニアの国だが、アジアサッカー連盟に所属)、イランは決して楽とは言えないが、比較的戦いやすいグループに入った印象だ。特にイランは、これまで6度もW杯に出場していながら一度もグループリーグを突破できていないが、今回はチャンスといえるだろう。

一方、サウジアラビアはスペイン、ウルグアイの優勝経験のある2国と同居することになり、苦しい。前回の開催国カタールも、今回の開催国カナダ、堅実なスイスに加え、イタリアがプレーオフを勝ち抜いてこのグループに入ると苦戦を余儀なくされそうだ。初出場のウズベキスタンとヨルダンは共に実力国に囲まれて厳しい戦いが予想される。

では、優勝はどこになりそうか。日本!と言いたいところだが、そう簡単ではない。報道によると、スーパーコンピューターによる予測では、スペイン(確率17.0%)、フランス(14.1%)、イングランド(11.8%)、アルゼンチン(8.7%)、ドイツ(7.1%)が上位を占めているという。ちなみに日本の確率は0.9%で全体の17位、アジア勢では最上位だ。

私もスペインが最も栄冠に近いところにいるように思う。最新のFIFAランクで1位ということもあるが、それ以上に選手層の厚さが、出場国が増えて長丁場となる今大会では有利に働くだろう。対抗馬には、サッカーの母国でありながら1966年の自国開催のW杯を除けば重要な国際大会で優勝したことのないイングランドを推したい。

「中国人はチームプレーに夢中になれない」

レコードチャイナのコラムなので、中国サッカーについて触れてみたい。出場国の増加でアジア枠が8.5(0.5は大陸間プレーオフの分)に増えた今大会は、中国にとって24年ぶり2回目の出場のチャンスだったのだが、最終予選の初戦で日本に0-7でたたきのめされたのが尾を引いたのか、またしても出場を逃した。正直なところ、サッカーの質や魅力という点で中国代表はW杯のレベルに達しておらず、この結果は順当と感じた。

そんなことを考えていたら、最近読んだ「ほんとうの中国」(近藤大介著、2025年講談社現代新書)の中に、こんな興味深い一節を見つけた。著者が、中国のサッカーはチームプレーに乏しい、みんなパスを嫌って自分でシュートを打ちたがると経済界の大物に話したところ、彼は「われわれはチームプレーのゲームには夢中になれないのさ。あくまでも個人の知恵とパワーで勝負していくのが中国社会なのだ」と呵々大笑したという。

確かに現在の中国が強いのは卓球、水泳、体操など個人競技が中心で、サッカーなど団体競技は影が薄い。とはいえ、かつてはアトランタ五輪(1996年)の女子サッカーで銀メダルを取ったこともあるし、男子でも日本より強かった時代もあった。先の経済界大物は「どんなに世界の有名監督を招聘したって、中国チームは強くならないよ」と語ったそうだが、2030年のW杯に向けて巻き返しがあるのか、注目したい。

ところで、以前当欄でも触れたが、中国にはかなりの数の日本代表ファンがいて、前回W杯でドイツやスペインを破った際にはパブリックビューイングでハイタッチして喜ぶ中国人の姿が動画投稿サイトにアップされていた。しかし、最近の日中関係の悪化で、大っぴらに日本を応援しにくい雰囲気が広がっているのではないだろうか。彼ら中国の日本代表ファンが北中米W杯でも日本を応援するのか。

そうした応援風景の動画が削除されずに閲覧できるのか。これらは中国の対日姿勢を測る上でのバロメーターにもなりそうだ。

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