2025年は中国映画誕生120周年の節目となる年で、中国映画の総興行収入は518億3200万元(約1兆1662億円)を超える好成績を達成した。多くの作品が話題となっているが、中でもアニメ映画の興行収入は250億元(約5625億円)を突破し、中国映画史においてアニメ映画の興行収入が過去最高の年となった。
世界初の水墨画アニメ映画となった「おたまじゃくしが母さんを探す(原題:小蝌蚪找媽媽)」は、かつて数世代の中国人の共通の思い出だった。しかし、制作時間とコストの高さから、この種のスタイルは目にすることが無くなってしまった。
上海美術電影制片廠の制作総監督・管敏波(グワン・ミンボー)氏は、「エビが動くシーンは、実は20枚以上の水墨画を撮影して制作している。そのため、アニメーターは絵を20枚以上描かなければならなかった。これが、当時の水墨画アニメがすべて短編作品だった理由だ。1本の短編を制作するのに4~5年がかかっていたため、劇場用長編を制作しようとした場合、どれだけの時間が必要となるか想像できるだろう」としている。
しかし現在、製作技術がレベルアップしていることで、期待が高まっている。中国初のカラー水墨画長編アニメとなる「斑羚の渡し(原題:斑羚飛渡)」は近日中に公開が予定されている。この作品を伝統的な水墨画アニメの制作手法で制作した場合、少なくとも20年の歳月が必要だった。
上海美術電影制片廠の芸術監督・速達(スー・ダー)氏は、「公開後、観客はきっと中国の水墨画アニメの驚くべき飛躍と美しい表現に感じ入ることになるだろう」と話した。
常光希(チャン・グアンシー)氏、周克勤(ジョウ・カーチン)氏、凌紓(リン・シュウ)氏らベテラン芸術家は、「大暴れ孫悟空(原題:大閙天宮)」「猿と満月(原題:猴子撈月)」「ひょうたん童子(原題:葫蘆兄弟)」「宝蓮灯」といった誰もが知るアニメ作品を創作してきた。彼らは芸術委員会を組織し、若手と青年アニメクリエーターの探索と革新を支援している。
アニメ映画「燃比娃(ランビーワ)-炎の物語-(原題:燃比娃)」が25年2月にベルリン国際映画祭のジェネレーション部門にノミネートされた。これは上海美術電影制片廠の「三人の和尚(原題:三個和尚)」と「シギとハマグリ(原題:鷸蚌相争)」がそれぞれ短編映画銀熊賞を受賞して以来、実に40年以上ぶりのベルリン国際映画祭へのノミネートとなった。
「燃比娃」のプロデューサー・王安憶(ワン・アンイー)氏は、「上海美術電影制片廠にとって、また上海発の長編映画にとっても非常に意義深い。中国の長編アニメにとって国際映画制作者連盟(FIAPF)が公認するコンペティティブ映画祭(カンヌ、ベルリン、ヴェネツィア)への初のノミネートとなったからだ」と述べた。
1990年代生まれの若手アニメクリエーター・鄒宇晨(ゾウ・ユーチェン)氏は、「『燃比娃』は非常に革新的な作品で、切り紙、油絵、チャン族の刺繍など多様なアニメ形式を融合させている。当初は一部、議論が生じたこともあったが、先輩の芸術家らは意外にもこの革新的な試みと実験的アニメの融合を励ましてくれ、『非常に良い方向だ』と評価してくれた」と話した。
このように、25年の中国アニメ映画は興行収入と評価、そして栄誉も獲得した。さらに、業界は単一の興行収入に依存することから、関連グッズ販売を中心に、クラウドファンディング、ライセンス、文化観光など多岐にわたるIP開発・利用のモデルへ転換していった。例えば、「浪浪山小妖怪」は800種類以上の関連グッズを発売し、キャラクターの縫いぐるみは品切れするほどの人気となった。
また、「浪浪山小妖怪」のロケ地である山西省大同市にある善化寺や永安寺がネットで人気のスポットになり、上海美術電影制片廠のアニメキャラクターをテーマにした室内親子レジャーパークも上海市にオープンした。
水墨画や切り紙が生き生きと動き出し、ベルリンの観客が中国アニメ「燃比娃」に拍手を送ったのは、文明の生命力と魅力への称賛と言っていいだろう。本当の意味での文化的自信とは、伝統的なIPを数多く手にしているだけでなく、現代の革新と勇気によってこれらのIPを覚醒させ、対話する能力にあるのではないだろうか。(提供/人民網日本語版・編集/SC)











