2026年1月6日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)の中国語版は、米MetaによるAIスタートアップ「Manus」買収の背景や今後の展望について報じた。

記事は、MetaがManusを25億ドル超で買収し、米中AI協力の新たな道を切り開いたと複数の米国メディアが報じたことを紹介。

交渉はわずか10日間という異例の速さで完了し、買収完了をもってManusから中国資本の持分を完全に排除し、中国国内でのサービス・運営も終了させるというMeta広報担当の話を伝えた。

また、Metaが巨額を出してManus買収に動いた要因として、Manusが昨年3月に発表した初の汎用人工知能(AI)エージェントを挙げ、人間の介入を最小限に抑えながら目標の理解、タスクの分解、ツールの呼び出しを自律的に行える技術がChatGPTやDeepSeekなどの対話型モデルをしのぐと評されており、数十億人のユーザー基盤を持つMetaがManusを通じた新たな収益機会の創出を狙ったとの見方を示した。

記事はその上で、Manusがたどってきた経緯について言及。2022年に母体である「蝴蝶効応(バタフライ・エフェクト)」が中国で設立された後、25年6月に本社をシンガポールへ移転したほか、中国人従業員を削減することで「中国色」を薄めてきたと解説した。

さらに、Manusが中国の影響力に関する外部の懸念を払拭(ふっしょく)できた鍵として、機密性の高い業務の切り離しや独立取締役の導入に加え、データのローカル保存を強化し、米国の主要クラウドサービス事業者と深い連携を築いたことを挙げた。また、学習データに制限対象となる中国関連データが一切含まれないことを保証し、米国内での核心的なアルゴリズム開発の完結を約束したことなどにより、技術流出や国家安全保障に対する米国政府の懸念を大幅に緩和させたとの分析を紹介している。

記事は、「Manusモデル」に対する専門家の意見を紹介。中国系スタートアップにとって国際市場へ進出する新たな選択肢になるという分析に加え、「このモデルは政府の監視が及んでいない中小企業には有効だが、戦略的重要性の高い大手企業には適用が難しい」という中国の投資銀行・香頌資本の沈萌(チェン・モン)執行董事の指摘や、シンガポール国立大学の顧清揚(グー・チンヤン)副教授が「外部の障壁に対応せざるを得ない無力感と、自国の技術成果が世界で認められたい」という中国企業のジレンマを反映した事例と評したことを伝えた。

最後に記事は、今回の買収に対し米国政府が沈黙していることは、Manusによる信頼構築が成功した証左である一方、中国政府内には中国人エンジニアの開発した技術が米国に渡ることを快く思わない向きもあると指摘。ただ、Manusがすでにシンガポールを拠点としている以上、中国側がこの取引を阻止する手段は限られているとした。(編集・翻訳/川尻)

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