中国のシェアサイクル大手「ハローバイク」が料金を改定した。初乗り料金は2元(約45円)に設定され、最初の60分間まではこの料金で利用できる。
日本でモビリティコストが上昇
日本では3月14日にJR東日本が運賃改定を実施する。山手線の初乗り運賃(大人・切符)は150円から160円へ、東京駅から新宿駅までは210円から260円へと引き上げられる。
ガソリン暫定税率の廃止といった一部の負担軽減策はあるものの、鉄道やバスなど公共交通機関の運賃改定は続いており、移動にかかるコストが生活の負担として存在するのが日本の現状だ。
中国の「ハローバイク」が料金値上げ
一方、中国ではシェアサイクル大手のハローバイクが年初に全国で料金改定を実施し、話題になっている。初乗り運賃が60分まで2元(約45円)、その後は1分ごとに0.1元(約2.25円)加算されるという仕組みで、事業者は事業の継続性を確保するために、より現実的な価格設定を余儀なくされている背景がある。
中国のネット上では、「コストパフォーマンス重視」のトレンドの中、このハローバイクの料金改定に注目が集まっているが、実を言えば日本のシェアサイクルの料金水準は中国の比ではない。HELLO CYCLINGを例に取ると、地域差はあるが、東京都ではシティサイクルの利用が開始30分160円、延長160円/15分(2025年4月の料金改定後)。12時間利用すると2500円になる。
日中のシェアサイクルで大きな料金格差
先に示した課金ルールに基づいて単純計算すると、1時間は480円(30分160円+延長160円×2)となり、中国側の2元(約45円)と比べれば、おおむね10倍の差が出てくる。
HELLO CYCLINGは中国の「ハローバイク」と同じく16年に誕生したシェアサイクルのブランドで、25年1月時点でステーション数は約1万カ所超、会員数は410万人を突破している。同ブランドを展開するOpen Street社は成長を続けているが、中国の市場規模には遠く及ばない。
伸びていてももうからない背景
成長しているのは確かだが、中国の「面の密度」には遠く及ばず、保守、回収、再配置のコストが価格に転嫁されやすいことも想像される。投資が「車両購入」では終わらず、「修理、運搬、配置、回収」という地道な作業が利益を削っていくとなれば、採算が厳しくなる。
利用料金が高ければ、消費者は躊躇する。シェアサイクルが都市の交通を支えるインフラとなっている中国と比べると、日本の場合は供給量の点でまだまだ発展途上にあるといえそうだ。
「どこでもちょい乗り」の壁
そもそも中国では圧倒的な供給量と登録ユーザー数(ハローバイクで8億ユーザー)に支えられ、「どこでも借りられ、どこでも返せる」など利便性が高い。
利用者はスマートフォンのアプリで近くの自転車を見つけ、目的地に着いたらその場で施錠するだけで返却が完了する。この自由度の高さが、ラストワンマイルの移動手段として、人々の生活に深く浸透している。
片や同じ「ハロー」の名を冠した日本のHELLO CYCLINGは「ステーション」と呼ばれる特定の貸出・返却拠点を軸に運営されている。同ブランドは全国に約1万カ所以上(25年時点)のステーションを展開しているとされるが、その密度は大都市やメジャーな観光地を除けばまだ十分とはいえない。
筆者が長野県の穂高駅で自転車を借り、観光地のわさび園まで移動した際、返却ステーションに自転車が1台しかなく、帰りの足を確保できるか不安に感じた経験がある。
供給量が限られていれば、利用シーンは観光スポット間の移動や特定の区間の往復などに限定されがちになる。利用頻度を上げにくい構造も、結果として高い料金設定につながっていく。
利用のハードルと今後の期待
実際の使用感も中国の視点から見ればさまざまな課題があるかもしれない。専用アプリの登録段階から壁にぶつかるユーザーもいるはずだ。決済方法としてさまざまなクレジットカードをサポートしているのはありがたいことだが、初期設定の操作では一定のハードルがある。
また、すでに提示したように供給量に制約があれば、スムーズに「借りられる」「返せる」ための心得が必要になってくる。利用予約を入れ、返却予定地も事前に候補を複数確保しておくなどの準備も必要になってくる。
それでも筆者の個人的な感想を述べれば、変速機付きの自転車で安曇野を駆け巡られたのは快適な体験だった。HELLO CYCLINGはインバウンド利用の増加にも対応し、連携やサービス品質の強化を進めていると聞く。中国のハローバイクに匹敵するインフラに育ってほしいと期待したいところだ。そして費用もそこそこ抑制してほしい。(提供/邦人NAVI-WeChat公式アカウント・編集/耕雲)











